「コイツには何言ってもいい系女子」が密かに我が身を切り刻んでる件

電通過労自殺が伝えるもう1つのこと
中野 円佳 プロフィール

「男性化」「おもしろい子化」が生存戦略

本来は高橋さんのケースや電通の実態を取材して書くべきだと思うが、それができていない状況でも、新入社員が入ってくるこの時期にどうしても書いておきたいことがある。

それは、はたから見ると「こいつには何を言ってもいい系女子」、すなわち下ネタやいじりを言っても許してくれるようなキャラの女子が、密かに自分の身を切り刻んでいることがある、ということだ。

自分自身、そして私が『「育休世代」のジレンマ』という本でヒアリングした女性たちの、大学時代や新人時代。男性が圧倒的多数の中に若い女性が1人放り込まれたとき、女性はどうするか。「男性化」「おもしろい子化」するというのが、1つの生存戦略となる。

つまり、下ネタOK、職場で寝るのOK、仕事が恋人みたいなことを言う、こいつには何を言っても許されるキャラを演じる……といったことは、女子にとって「メンバー」に入れてもらう手段になるわけだ。

自分を例外扱いしてもらうことで認めてもらうこうした行動はかつてアパルトヘイト下の南アフリカで日本人らが「名誉白人」と呼ばれたのになぞらえて、「名誉男性」ともいう。

もちろん、「天性」の場合もあるだろう。私もどちらかというと幼少のころから男の子たちといることが多く、自然体で男勝りのタイプだった。つまり、演じているという感覚、戦略としてやっている感覚はない場合も多い。

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でも、30代前後の女性にヒアリングをしていると、「自分もそうやって無理をしていた時期があった」と語りだす女性は少なくない。「この人は男性の中にいることとか特に苦痛じゃないんだろうな」と見えていた女性にふと言われたことがある。「マイノリティでいることって、辛いですよね」と。

女性が半数近くいる環境にうつって初めて、こんなに安心感があるのかと気づくこともある。

「美しさ」まで求めるダブルスタンダード

こうしたマイノリティとしての居心地の悪さに加えて、職場で「若い女性」がときとして求められるのは、女としても「きれいであること」。

男性並みに仕事をこなしているのに、なぜか「職場の華」であることも求められるダブルスタンダードの中で、総合職女子は生きている。