17LDK茶室つき!目下の悩みは「家が広すぎること」

東京・大阪「大豪邸」の主に話を聞いた
週刊現代 プロフィール

庭の樹は天然記念物

向井氏の邸宅の敷地の8割を占めるのは、やはり森のように青々と生い茂る木々だ。
なかでも一際の存在感を放つのが敷地の中央にある大きなムクの樹。

向井氏の先祖が植えたものではなく、自生しているもので樹齢は推定480年。こちらも、市の条例で天然記念物に指定されているという。

「民俗文化財」に指定されているというと聞こえはいいが、実際に管理する向井氏の苦労は絶えないという。

「文化財に指定されたことで、価値を損なわないように家の外壁の修理に使う材質も指定のものを使わねばなりません。

最近、敷地内にある堀を20mほど修理しましたが、それだけで約600万円かかりました。この時は、半分の300万円ほど市から補助金が出ましたが、補助金の予算は限られており、あまりアテにはできません。

市からの要望もあり、近いうちに大規模な修理を計画していますが、業者に見積もりをとったところ、完全に修理するには4~5年ほどの時間と、少なくとも2億円以上の費用がかかる。市から期待できる補助金はせいぜい数千万円だから、持ち出しが1億円以上になってしまう。いまから戦々恐々としています」

文化財に指定されたことで、固定資産税こそ軽減されているが、こまめな修復費用などを合わせればこの10年で、3000万円ほどが向井氏の持ち出しになっている。

「ゆくゆくは、市はここを地元のコミュニティーの拠点として活用したいそうで、私自身もやぶさかではありません。ただ、先祖から代々受け継いできた土地と建物を一族で守らなくてはという思いは強いので、すべて寄付するのには迷いがあります。

それでも、維持費を考えると私だけでどこまで持ちこたえられるか。息子は名古屋に住んでいますが、いずれはこちらを引き継ぎたいという意思はあるようです。ただ、こればかりはどうなるか私にも分かりません」

家主を悩ませるほどの大豪邸。その内側は一般庶民には窺い知れない。

「週刊現代」2017年4月8日号より