17LDK茶室つき!目下の悩みは「家が広すぎること」

東京・大阪「大豪邸」の主に話を聞いた
週刊現代 プロフィール

中庭を見渡すガラス張り風呂

他方、広さでは赤城邸に及ばぬものの、贅の限りを尽くした邸宅が都内にある。

新宿から電車に乗り1時間ほど。八王子市内のある駅から車で15分ほど走ると、閑静な住宅街のなかに、ひときわ目立つ荘厳な門構えが見えてくる。門柱は御影石だろうか、灰色の無機質な質感ながら、どこかぬくもりを感じさせる。

我々のアポなし訪問に快く応じてくれたこの邸宅の主は、病院グループで理事長を務める間宮公平氏(仮名・60代)だ。

400坪はありそうな敷地内には、広々とした花壇が設置され、夏にはトマトやキュウリ、冬にはほうれん草やそら豆が採れる自家菜園も備えている。

広大な庭を横目にレンガ敷きの小道をたどると、明るいクリーム色の外壁が目を引く、3階建ての円形の建物が待ち受ける。ここが間宮氏一家の住まいだ。

「ここは父の代に購入した土地で、10年前に父が亡くなったのを機に私と家族が移り住み、全面的に建て替えました」

間宮家は、もともと北陸地方の豪商だったが、氏の祖父の代に東京に進出。都内各所に所有する土地を運用し、裕福な生活を送っていた。

しかし、戦後に導入された高額の資産課税により、所有地をごっそり召し上げられ、一時は没落してしまう。

それでも、三兄弟の長兄だった間宮氏の父は医師、弟たちはそれぞれ学者、弁護士の道に進み、富を「再興」した。

「自分は親の財産のおかげでのうのうと生きてこられただけ」と謙遜する間宮氏自身も、父の姿に感化され、国立大の医学部に進学、医師となって父の病院を継いだ。

穏やかな間接照明が照らす打ちっぱなしの廊下には、間宮氏の趣味だという現代アート作品の数々が飾られている。

その中の一枚、赤く塗りつぶされたカンバスに緑の絵の具を撒き散らしたような作品はテーマが難解にも感じられるが、「バブル期に数千万で購入したもの」だという。

壁のもう一方の側面には幅6mはあろうかというワインセラーが置かれ、年代物のワインが大量に陳列されている。

長い廊下を抜けた先は、広いダイニングルーム。3階の高さまで吹き抜けになっており、ガラス張りの天窓から陽の光が燦々と差し込む。

「一応、全面床暖房を導入したのですが、よく日光が差している日は照りつける自然光で室内が自然に温まり、ほとんど使う必要がない」

モダンなソファーセットやローテーブル、数百枚のレコードが収納されているというオーディオボードをはじめ、美しく統一感のある調度品はすべて、父親の代に家具屋に特注で揃えてもらった一点もの。長年手入れをしながら、大切に使っているという。

「最初にこれを揃えるときにオヤジは相当な金額をはたいたと思いますが、やっぱりいいモノはぜんぜん壊れないし、時代を経るごとに味わいが出てくる。買い替えなくて済むので、かえって安く上がっていると思います」

壁面に内蔵されたホームシアターシステムや作り付けの本棚など、まさに「贅の限り」を尽くした間宮氏の邸宅。なかでも間宮氏が気に入っているとっておきの場所へ案内してくれた。

扉を開けると、そこは新築時に一番こだわったというバスルーム。一般家庭のリビングかと見紛う洗面所は、冷暖房完備のうえ、4人がけのソファーが置かれている。

その奥に佇む全面ガラス張りになっている風呂場のドアを開けると、樹木の香りがむせ返るほどに立ちのぼる。浴槽は総檜造りで、家族全員が一緒に入浴できる広さ。純和風の中庭が見渡せるガラス張りになっており、完全防水のステレオも装備されている。

浴槽の隣には、同じく檜造りの本格的な一人用サウナも設置されている。

「妻が大の温泉好きで、若いころは暇を見つけては一緒に温泉旅行に行っていたんです。でも、私が院長になってからは、診療と経営の両方を見なくてはならず、働きづめだった。

病院経営というと聞こえはいいですが、最新の診断機材を入れたり、施設をリニューアルするたびに莫大なカネがかかりますから、家庭を顧みず馬車馬のように働きました。

妻には寂しい思いをさせたぶん、『家で温泉気分を味わって貰えれば』という気持ちで、新築の際に風呂にはこだわったんです」

庭にはゴルフ練習場

サウナの購入代も含め、この浴室の設置にかかった費用は約1000万円というから驚きだ。

「普段から無駄なお金は使いません。娘二人はまだ学生ですが、常日頃から『生きたお金の使い方をしなくちゃいけないよ』と伝えているし、過分な小遣いをやることもありません。

ただ、一度きりの人生、家族が楽しく暮らせるところにはお金を惜しみなく使いたいと思っています」

お次は大阪北部・豊中市内にある住宅街。森友学園騒動ですっかりネガティブなイメージがついてしまった豊中地区だが、もともとは関西有数の高級住宅地だ。

傾斜地に沿って入り組んだ細い道を歩くと、見上げるような邸宅が立ち並んでいる。
その中の一軒の持ち主が、山脇祐一郎氏(仮名・60代)だ。

500坪以上の堂々たる敷地の外壁には石垣がそびえ、きれいに剪定された生垣が見て取れる。金属製の電動シャッターの奥には、高級外車が2台。丹念に磨かれたボディが光沢を放つ。

ガレージ脇の階段を上ると、ここにもやはり15m四方のプールがあり、綺麗に刈り揃えられた芝生にはバーベキューセットとガーデンテーブルが鎮座している。庭の一角にはゴルフ練習場が設置され、さらに家庭菜園用の温室まである。

二階建ての母屋は大理石張りの外壁に覆われ、洗濯物など生活感を感じさせるものは何一つ見えない。

母屋のほかにももうひとつ、二階建ての真新しい戸建てが立っている。

「二人の息子はそれぞれ、大阪の中心部と東京にいますが、いずれこちらに帰ってくると思いますので、その時のために建てたんです」

こう語る山脇氏は約40年ほど前からこの場所に居を構え、現在は妻と二人暮らし。
通してもらった応接室には、見るからに値の張る革のソファーとガラス製のローテーブルが置かれていた。

驚くのは、壁面にほどこされた飾り棚に並べられた、陶器類のコレクションの数々。
マイセン、ウェッジウッド、リチャードジノリ、ロイヤルコペンハーゲン……。世界の名だたるメーカー製の皿やティーカップがびっしりと並べられた様子は、まるで博物館のよう。

ティーカップだけでも軽く100セット、総額は数百万円にまで届くだろう。

「若い頃は、仕事の合間に長期の休みを取って家内と豪華客船で世界を回るのが趣味だったので、その行く先々で購入したものです。ほとんど使うこともないのですが、思い出の品なので、なかなか処分できないですね。

仕事は不動産関係でしたが数年前に引退して、今は個人で時おり土地の売買をする程度です」

こう語る山脇氏は、本宅とは別に、東京の中央区にも生活の拠点としてタワーマンションの一室を所有。そちらにも外車があるという。

なにより驚かされるのは、買い物の方法。大阪市内の大手デパートから時折、担当の外商員がやってきて、山脇氏夫妻の好みにあった品物を持ち込んでくる。

「デパートだけでなく、近所の酒屋さんや本屋さん、雑貨屋さんなどのお店も、なにか商品をお願いしてウチまで持ってきていただく場合が多い。皆さんが長いおつきあいですから……」

聞けば聞くほど庶民とはかけ離れた暮らしのようだが、穏やかに語る山脇氏の身なりに華美な様子はない。ピカピカに磨き込まれた革靴だけはいかにも高級感を感じさせるが、決して派手な服を着込んでいるわけではなく、そんな質実さが、かえって「気品」を漂わせる。

「財産管理はすべて資産管理会社に一任していて、いまどれくらいのお金があるのかはわからない」と語る山脇氏。

だが、大豪邸の持ち主のすべてが、山脇氏のように「悠々自適」の安泰な生活を送れているわけではない。