鈴木涼美さんがオンナのお金の使い方・稼ぎ方について独自の人脈を駆使して取材考察する好評連載『オンナの収支報告書』、待望の配信です! 今回は、融通ききまくりの夜のお仕事を生業にするGカップ28歳女子のある意味うらやましいライフスタイルに密着します。
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不景気がデフォみたいな時代に生まれ落ちた私たちの中にも、びっくりするほど稼いでいる人も、びっくりするほど使っている人もいる。それは事業に成功した経営者であってもそうだし、月300万円の収入に飽き足らずさらに収入源(金づる)探しに勤しむソープ嬢も、ホストの誕生日に500万円支払う太客もそうである。
一方で、貧困女子なんていうそのまま貧乏くさい言葉もよく使用される。張り切って上京してみたもののありついたアルバイトで月収13万円だとか、風俗店にもなかなか受からず、1本手取り5000円で売春するとか、出会い喫茶で不安定な援助交際を繰り返すだとか。鈴木大介さんの『最貧困女子』(幻冬舎新書)という死ぬほど暗い著作も話題となった。
日本にもそれなりにボンビー族がいるのも事実だが、貧困を統計的に見るのは極めて難しい。
そもそもキャバクラ嬢も風俗嬢も確定申告をしているしっかり者はものすごく少数派であるし、風俗店に勤めてたとえその店からもらっている収入が月10万円だったとしても、客からの裏引きが月に100万円以上ある女子もいる。交際クラブでパパ漁りをしている女子の収入なんぞ本人だって大して把握していない。
夜職業界では表面上は超低収入、実際手にしている札束は超高収入という隠れ富裕層は当たり前にゴロゴロいて、特にホストクラブ周辺では、超高収入であってもその収入の9割……いや多くが13割くらいをそのままホストに流してしまう女子が多いため、超高収入ながらも家賃や光熱費滞納組というのもまた一定おり、何が富裕で何が貧困なのかは実のところよく分からない。
実は裏収入でリッチな人もいれば高収入高支出の人が貧困に見える場合もある。
ただ、もちろん額面通り低収入の人もいる。別に100万稼いでも売掛120万なので結果貧困、というのではなく、最初から収入が少ない人。夜職であってもそれは変わらない。ただ、夜職の低収入者の内情を探ると、大抵大きく分けて2つの派閥に分かれる。
1つ目の派閥が、おそらく性格暗めのルポライターが好きそうな、顔面偏差値もコミュ力も低く、情報弱者で騙されやすく、田舎出身で親や友達のツテもなく、キャバクラにも風俗店にもなかなか雇ってもらえない上に、雇われたところで本指名客なんて掴めないし、そもそもそれほど電話もならない店だったり1本の手取りがものすごく安かったりする人たちである。
スカウトに言われるがままAVプロダクションにも所属してみたが、半年間できた仕事と言えば裸で殴り合いをするキャットファイトもの(ギャラ3万)が1本と、ブス専用素人ナンパレイプものが1本、とか。
もう一方の派閥は、本人のスペックにはあまり関係がない。キャバクラや風俗店の面接は受かるし、出勤すれば時に10万円以上持ち帰ることも余裕、気に入ってくれるおじさんからはちょくちょくLINEが入ってくる。
しかし、出勤しない、という人たち。シフトを組み、次回の出勤日を確認して、当日の出勤確認までしても店までたどり着けない・ベッドから起きられない・遊びの予定を断れない。
鬼出勤の真逆、働き虫の対極にあるこのキリギリス娘たち、意外と数が多く、私の古くからの親友の元同僚であったレイナちゃんというのがまさに5年越しのそれである。