盗聴・録音された「セックステープ」が大流出?あるモーテルの秘密

「ほんと、多いよ、人妻の浮気」
本橋 信宏 プロフィール

するとモーテル経営者は我が意を得たりと、次々と禁断のカセットテープを再生しながら解説しだすのだった。

「一部屋だけあけておくのよ。そこに(盗聴器)仕掛けておくんだ」

「カセットに書かれているタイトルは、社長がカップルを見て関係を推定したものなんですね?」

「ああ(笑)。だいたいあってるんじゃない。繁華街から離れてるし、車で来るから、おたがいプライバシー覗かれるとまずいようなアベックが多いよ。近くの団地、あそこの奥さんたち、スナックで男と知り合ってモーテルにしけこむんだ。ほんと、多いよ、人妻の浮気」

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いまでは人妻といったら、週刊誌、ドラマ、映画、小説、AV、風俗業界でも人気があるが、80年代がはじまったのころはまだ人妻は脇役だった。処女信仰が生き残っていた時代ゆえに、女子大生、女子高生といった処女的ジャンルのほうが圧倒的に人気があり、非処女の代名詞である人妻はマニアックな存在だった。

モーテル経営者が密かに録音していたテープは、時代を先取りしていたといおうか、人妻の旺盛な性欲を記録していたことになる。

「ナイターが終了したプロ野球選手が女を連れて入ることもあるし。どこかで見かけた顔だなと思ったら中学の校長と保護者会代表の奥さんだったとか。ほんと、人間、みんなやること一緒だよ。どうなっちゃってるんだよ、世の中は」

モーテル経営者はみずからの行為は棚に上げ、世を嘆くのだ。

 

男女の行為を録画できるホテル

1980年当時のモーテル・ラブホテル都市伝説というのがあった。部屋にセッティングされたビデオ撮影装置で男女の行為を録画できる、という売り文句が流行った。まだビデオが普及する前の時代ゆえに、こんな装置があるホテルは人気があった。

男女のあのときの行為を録画したものの、ことのすんだ男女がうっかりビデオを消し忘れ、そのテープがダビングされて闇に流れるという噂が流れた。あるいはモーテル経営者がこっそりと別コードを配線し、同時録画してしまうという噂もあった。

実際に私も何度か消し忘れビデオという触れ込みのVHSビデオを見たときがあった。

何度も何度もダビングされているために、輪郭がぼやけているが、たしかに素人らしき30代の男女が肉交していた。

私が取材したモーテル経営者も、「そのうちビデオ録画してみようかと思ってる」と打ち明けた。

ゲイ・タリーズ本に登場するモーテル経営者が証言していたように、普段、男女は部屋にいてもドラマティックな展開にならず、退屈そうにテレビを見たり、世間話をしたり、という時間が多いという。

私が聴いたカセットテープも、秘め事以外にはごくありふれた話(たとえば確定申告の話だったり、テレビ番組の話だったり)がほとんどだった。

このときの取材以降、私はこの手の施設を利用するとき、何かセットされていないか、まず確認することが習性となった。

あれから37年——。

モーテル近くを訪ねたら、資材置き場になっていた。経営者は生きているとしたら80代後半。すでに地上から消えたのだろうか。

気になるのは箱にぎっしり詰め込まれたあのカセットテープの行方だ。

前科7犯。借金50億。米国司法当局から懲役370年求刑。奇跡の男か、稀代の大ボラ吹きか。“AVの帝王”と呼ばれた裸の男の半生。