自閉症スペクトラムの「壮絶人生」告白後に痛感した世間との距離

理解なんて、されるワケない?
天咲 心良 プロフィール

出版からしばらくして、色々なところに掲載される、本の感想を目にする機会が増えた。ありがたいことに、その多くが共感の声だった。

特に、「大人やクラスメイトと理解しあえず、叱責され、はみ出してゆく体験を私も一緒にしてしまったようでした」「この本で心良さんが経験した症状や現象、待遇は私も体験しました。よくぞ書いてくだすった! という気持ちです」「定型、非定型にかかわらず、自分の子供時代にリンクして、子供時代に誘うエピソードが、この本には、必ず書かれているのが、見つかります。―(中略)―それは、自分を解放することにもつながると思う」「生きることに疲れた(自閉症でなくても)人間関係に日々悩む人、特に子育て中の人は読んだほうがいい。自分の中に潜む、心を解放してくれる一冊でした!」そんな言葉は、私の宝物になった。

 

思えばネットに寄稿したのは、あくまでも出版に寄せた思いを綴った文章だった。それだけを読んだ人には、「綺麗ごとじゃ伝わらないんだよ」と思われたのだろう。けれど、本そのものを読んでくれた人には、私の伝えたかった事はちゃんと伝わっているのだ。

知りもせず、「理解されるわけがない」と一言で片づけてしまうのは簡単だ。けれど、冷やかし半分であろうと読んでもらえば、必ず伝わるものがあると私は信じている。

読むこと、知ることでその人の内的世界が変わり、そんな人が増えることで社会が変わり、そうしてやがてこの世界全体が変わってゆくと、私は信じているのだ。

読書人の雑誌「本」2017年4月号より

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