年収の高い人ほど、「住宅ローン」選びに失敗しない納得の理由

住宅ローンを極める➀
山下 和之 プロフィール

年収の高い人ほど安全な金利タイプを選ぶ理由

先の住宅金融支援機構の『2016年度民間住宅ローン利用者の実態調査〔民間住宅利用者編〕(第1回)』)では、年収別の金利タイプの利用状況も調べられている。それをみると、変動金利型では年収600万円以下が65.4%で、固定期間選択型は67.0%。それに対して全期間固定金利型利用者では63.2%に止まる。

つまり、年収の低い層ほど、金利リスクの大きい商品を選び、年収の高い層はより安全な全期間固定金利型を利用する傾向があるわけだ。

これは、恐らく変動金利型や固定期間選択型のほうが当初の金利が低く、返済額が少ないためにトクできるように感じるからだろう。しかし、実際にはそんなことはない。先にも紹介したように、完済まで金利が上がらなければ、その選択に間違いはないのだが、住宅ローンの返済は通常20年、30年に及ぶから、その間、ずっと金利が低い状態であり続けることはあり得ない。当面の金利だけで選択するのはあまりにも近視眼的な発想に過ぎるのではないか。

それに対して、比較的年収の高い層は、目先にとらわれずに長い目でみてどちらが安全なのか、トクなのかを見極めようとしているのではないだろうか。当面の返済にゆとりがあるからこそ、そうした堅実な考え方ができるのかもしれない。

やや極論すれば、こうした長期的視点で資産や人生設計をすることができるか。そうした差が年収や、成功できるかどうかを分けているとも言えるのかもしれない。

住宅メーカーのいいなりではいけない

ただ、多くの人がリスクの大きなローンを選んでしまうのには、リスクに対する認識の違いや性格の問題以外にも理由があると筆者は考えている。それは、住宅メーカーや不動産会社の担当者のいいなりに住宅ローンを決めてしまっている人が多いということだ。

マイホームの取得に当たっては、何より物件選びが第一で、その見極めに全精力を使い果たし、住宅ローンまで頭が回らないというのが現実。だからこそ、担当者にとって都合のいい住宅ローンを押しつけられてしまっている。

業者にしてみれば、ふだんから付き合いのある金融機関のローンであれば、審査を通しやすく、短期間で結論が出るので、お客に迷っている隙を与えないで契約まで持ち込める。その多くが変動金利型であり、固定期間選択型の金利リスクの大きいローンなのだ。

不動産会社や住宅メーカーの担当者としては、とにかく売ってしまえば勝ち。2年後、3年後に買った人がローン破たんに陥ろうが知ったことではない。新築住宅であれば、住宅そのものには法律で10年間の性能保証が義務づけられているので、売った住宅に欠陥が見つかったときには無料での補修などを実施しなければならないが、住宅ローンに関する責任はない。

本来なら、こうしたリスクについて十分に説明する「説明責任」があるはずなのだが、それを期待できない以上、利用者の側が「自己責任」において選択しなければならない。そのためには、少なくとも物件選びに注ぐ力の半分、いや3分の1程度でもいいから、住宅ローンの理解に力を注ぐべきだ。それだけで将来のローン破綻の危険性は大幅に減らせるのは間違いないし、将来のお金持ちへの第一歩となるはずだ。