独居老人の心細さにつけこみ、カネを巻き上げる悪質業者の手口

NHK元アナが広告塔…
長岡 美代

肝心のときに頼りにならない

モラルの低い事業者は、ほかにも存在する。

つい先ごろも、愛知県内にある事業者が利用者から遺贈された現金計約1億5000万円を隠し、法人税を免れたとして名古屋国税局から告発されたという報道がなされたばかりである。

内閣府消費者委員会は今年1月、日本ライフ協会の事件を受けて、ようやく事業者の実態把握とそれを踏まえた措置を検討するよう消費者庁や厚生労働省、国土交通省に対して建議を申し立てたばかりだが、早急な対策が望まれる。

「確かにまとめて支援を依頼できるのは便利ですが、サービス内容が多岐にわたり、契約形態も複雑なので高齢者には理解が難しい。何を契約したのかすらわかっていない例も見受けられます。葬儀や納骨などの預託金は事業者の倒産に備え、保全措置を義務づけるなど法的な対応が望まれます」(東京都消費生活総合センターの消費生活専門課長)

実際、預託金を事業者みずからが管理している例は、日本ライフ協会以外でも見受けられる。別法人で管理しているところも存在するが、勝手に引き出されてしまえば、結局は同じだ。入出金の状況を客観的に把握できるよう会員に情報開示できればいいが、そうした事業者は数少ない。

 

肝心のサービスについても、緊急時に事業者と連絡がつかなかったり、呼び出しに応じてもらえなかったりするなど“期待外れ”に終わる事態も起きている。

身の回りの世話など日常生活の支援を別法人に委託している例は少なくないが、そうした事実を知らないまま契約してしまう高齢者もいるのだ。

途中解約をめぐる苦情が続々

介護が必要になったときの支援も事業者によって差が大きい。東京都内にある某有料老人ホームの営業マンはこう打ち明ける。

「自宅での生活が難しくなって老人ホームへの入居が必要になった際、事業者が本人の希望や予算を踏まえずスタッフが通いやすい場所に決めてしまう例もあります。なかには老人ホーム側に紹介料を要求してくる事業者もあるくらいです」

必ずしも本人のために支援してくれるところばかりではないようだ。とりわけ認知症などで判断力が低下した場合は、サービスの手抜きが行われていても誰にも気づかれない。

預貯金・不動産などの財産管理や遺言書の作成まで引き受けている事業者も存在するが、第三者のチェックが届かないなかで都合よく使われてしまう懸念もある。

全国の消費生活相談センターには、「払い込んだ費用がほとんど戻らない」「高額な違約金を請求された」などといった途中解約をめぐる苦情も相次いでいる。

悪質な事業者にこれ以上老後の大切な蓄えを食いつぶされることのないよう、国には早急な対策を検討してもらいたい。