人口減少の流れで都心回帰が進むというのが不動産業界の「一般論」だが、実際は郊外や地方であっても実需のある「強いエリア」はまだまだ伸びシロがある。見てきたように、マンションランキングからは本当に強い物件の実情が浮かび上がってくるのである。
「人口減少が進む中、これからマンションは3極化していくでしょう。第一群は、時がたっても価値が維持されるマンションで、これが全体の2割程度。
第二群がダラダラと価格を下げて行くマンションで、これが7割。最後の1割の第三群は、その価値のほとんどがなくなってしまう。つまり、ゼロ円で譲り、家の撤去費も支払わなければいけない物件です。
ランキングに出てくるのはこの第一群で、とにかく実需をとらえている物件の『強さ』が見て取れます。
実際、郊外立地で不安視されている立川、国立、八王子の物件でも、サンクタス立川T1(44位)のようにしっかり需要をつかむ物件であれば将来安泰であることがわかる」(不動産コンサルタントで株式会社さくら事務所会長の長嶋修氏)
このランキングからは逆に、勝ち残れない物件、つまりは絶対に手を出してはいけない物件の条件も見えてくる。
「まず、人気でもすでに割高の物件。目黒区内でも坪単価400万円を超える物件がランクインしていないのが象徴的です。都心バブルに引きずられやすいエリアも危ない。
東京の世田谷、武蔵野、大阪の福島などがあまりランクインしないのは、価格に警戒感が出ているからです。スカイツリーバブルで、実需以上に価格高騰した下町エリアも要注意です」(前出・榊氏)
楽観視して「うちは大丈夫」と持ち続ければ、「最後の1割」の価値ゼロ物件になるリスクもあるから、気を付けて頂きたい――。