ユーミンと大物右翼「頭山家」の知られざる血脈と交流

ポップカルチャー界の「華麗なる一族」
週刊現代 プロフィール

ユーミンが食べたイチゴ

同書ではユーミンと正隆の初々しい交際についても、家族の貴重な証言が掲載されている。

〈正隆と由実は、25歳と22歳で結婚するまで毎日一緒にいるようになった。正隆が無事大学を卒業できるのか、二人して祈りながら三田キャンパスの学生課に問い合わせに行ったりもした。

「(ユーミンは)いつもバンドの人たちと一緒に下高井戸の家に来ていましたよ。まじめに、息子と音楽をやっていたわ」(松任谷和子)〉

正隆の弟、愛介もユーミンが自宅に現れた時の第一印象をこう話す。

〈「この子で決まりだ、これで家を出て行くんだって思いました。由実さんはそれまで兄貴が連れてきたどんな女の子とも違って見えた。シャイで目を見て話すのが苦手な人っていう印象もあったけど、瞬時にいろんなことを判断する賢さがあるってわかった」〉

とはいえ、世相を体現する歌姫も、時代に重厚な足跡を刻んできた者相手には分が悪かった。

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松任谷の家系に連なることになったユーミンが尋子に対面した貴重な瞬間を玉子は目撃している。

それは、どうやら尋子が、麻雀の拠点にしている「松任谷ビル」に由実を呼んだらしかった。

〈「最近、ご活躍みたいね」と尋子が言った。

ユーミンはダージリンを一飲みすると、出されたイチゴを食べ始めた。この人、どれだけ食べるんだろう。同席した玉子がそう思うほど、黙々とイチゴを食べ続けた。山ほどあったイチゴを完食すると、ユーミンは冷めかけた紅茶をもう一口飲んで、「実は……わたし」と言った。

「え?」

尋子が身を乗り出した。

「実は、わたし、下手なんです」

「下手?」

「歌が下手なんです」

尋子と玉子は顔を見合わせた。

「下手で、仕方がなくて」

尋子が笑い出した。そして「良い娘だね。正隆は良い嫁をもらったね」。

尋子は玉子に何十枚もの色紙を持ってこさせ、ユーミンにサインを書かせた。
ユーミンはその日以来、イチゴが食べられない。〉

 

思わぬ告白を引き出した外苑前の女主は、'99年2月、息を引き取った。正隆の父、功三郎も2014年4月、86歳で逝った。かつて、19歳で学徒出陣した功三郎は神宮外苑での出陣式からその足で頭山満を訪ねたという。

「軍隊で頑張りますなのか、はたまた軍隊が嫌なのか、頭山さんに報告に」(正隆の弟、愛介)。

そのとき功三郎が貰った大きな火鉢は、いまも松任谷家に残るという。

「週刊現代」2017年3月25日・4月1日合併号より

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