賭博、薬物、不倫…スキャンダルまみれの「巨人の闇」をこの男が斬る

ピンチに陥った日本プロ野球に喝!
野村 克也 プロフィール

リーダーの力量以上に組織は伸びない

―現在、巨人を率いるのは高橋由伸監督です。外野手出身者の監督を評価しませんね。

外野手出身で名監督と呼ばれる人は一人もいません。たとえば川上哲治さん、水原茂さん、三原脩さんはみんな内野手出身じゃないですか。

おおまかなことは誰が監督をやっても変わらないんです。問題は小事、些事。そこに目が行く、気が付けるかがポイントになる。外野手出身は細かいところに目が届かないんですよ。

昨シーズンのセ・リーグを制した広島の緒方孝市監督は外野手出身ですが、それで優勝できたのは他の監督がダメだから。6球団中5球団が外野手出身の監督ですから。

巨人に限らず、いま12球団で選手に本当に信頼されている監督っていますか? たとえばヒット・エンド・ランのサインを出して、選手から「なんでこの場面でこのサイン出すの?」って疑問に思われたら、信頼関係はそこで終わりなんです。

 

各球団は監督のレベルを上げるのが一番の補強ポイントですよ。リーダーの力量以上に組織は伸びないという原則があるでしょう。監督の知識、采配が高度化していけばチームは嫌でもよくなりますよ。

―捕手の重要性もチーム作りの大きなポイントだと書かれています。

かつては西鉄黄金時代の稲尾和久とか、優勝チームに名投手ありという時代がありました。いまは優勝チームに名捕手ありの時代。キャッチャーを重視してチーム編成をしている監督はまず間違いない。

キャッチャーが一番成長するのは間違いなく日本シリーズ。一球たりともおろそかにできないからです。巨人の阿部慎之助はずいぶんよくなってきて、これからだなと見ていたらファーストに転向……。もったいない。

私の南海時代に山内新一、福士敬章(松原明夫)が巨人からトレードで入ってきた。2人とも巨人ではろくに勝ってない。私にも意地があったんでね。2人に言い聞かせましたよ。「投げるのはお前らだ、受けるのは俺だ。ストライクさえ放れればあとは何とかする」。そのシーズン、山内は20勝、福士が7勝で優勝に貢献しましたよ。

自慢とかではなく、それくらい捕手は重要だということです。それなのに外野手出身の監督はキャッチャーのファインプレーに気が付かない。

―巨人の危機を語りながら、プロ野球の危機を語っていることがよくわかります。今後のプロ野球はどうしていけばいいのでしょうか。

間違いなくプロ野球は危険な状況に陥ってますよ。名監督がいない、そもそも監督候補がいない。チームを作るのは監督だからね。野球のレベルは間違いなく下がってます。いまは野球理論が出尽くしたという感じもあって、昔の精神野球に戻りつつあるように見える。これは勉強してるな、野球の本質を理解しているな、そう思えるような監督が出てこなくちゃ。巨人に限らずね。

(取材・文/渋谷淳)

週刊現代』2017年3月25日・4月1日号より

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