流行りの「グルテンフリーダイエット」本当にヤセるのか?

小麦をやめたとき、体に起きること
週刊現代 プロフィール

痩せやすい「体質」になる

医師で『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』の著者・溝口徹氏は言う。

「小麦を水で練ることで形成されるグルテンは、我々の体内にある消化酵素では分解しきれないのです。分解しきれないものが体の中に溜まるとアレルギーの元を作りやすい。また、消化されないまま腸に到達すると、粘膜に炎症を引き起こす恐れがあります。

グルテンフリーにより腸の粘膜が安定し、血糖値を下げる『GLP-1』、食欲抑制ホルモンの『PYY』が正常に分泌されるようになると、血糖値が上がりにくくなり、食欲のコントロールができるようになります。その結果、自然に痩せやすい体質になるのです。

また、グルテンにより、慢性的な疲労感、下痢や便秘、肌荒れ、アトピー、ぜんそくなど、何らかの不調が出る症状を『グルテン不耐症』や『グルテン過敏症』と呼びます。

小麦は日本の食卓に深く浸透し、毎日のように食べられています。グルテン不耐症と気づかないまま、『なんとなく不調』と感じている人が潜在的にかなりいるのではないでしょうか。

とくに今の時期、花粉症で悩んでいる人にも挑戦していただきたい。飛散している花粉をすべて避けるのは難しいですが、小麦をやめることで花粉症が軽減できるかもしれません」

アレルギーには、摂取後数分のうちに症状が現われる「即時型」と、時間が経ってから症状が現われる「遅延型」がある。いわゆる「小麦アレルギー」は即時型のアレルギーで、少量でも摂取すればすぐに発症する。

一方、「グルテン不耐症」は遅延型のため、数日、あるいは数年の積み重ねで症状が起こり、何が原因で不調が起きているのか本人も医師もわかりにくくなってしまうのだ。

都内の会社員・石田隆文さん(仮名・61歳)も小麦断ちで意外な効果を実感したという。

「単身赴任を25年間していたので、食生活は不規則でした。月曜日に赴任先の新大阪まで行くのですが、雑誌を買って新幹線に乗ると、最初のグラビアページしか見ていないのに、知らないうちに寝ている。気がついたときには新大阪、ということがほとんどでした。とくに寝不足というわけでもなかったのですが……。

転機となったのは、妻がいつも持たせてくれる家庭用ベーカリーのパン。米粉が健康にいいとテレビで見てからは、小麦を米粉で代用するようになったんです。

すると、新幹線で寝ることがなくなり、静岡あたりで雑誌を読み終えるようになった。スーパーでも米粉のパンを選ぶようになり、昼食後や会議中の睡魔との戦いも嘘のようになくなりました」

 

2週間、小麦をやめてみませんか?』の著者・フォーブス弥生氏が解説する。

「グルテンの中に含まれる『グリアジン』を過剰に摂取すると、血糖値を急上昇させる作用があるのです。すぐに眠くなっていたのは、上がった血糖値が急降下することが原因と考えられます」

Photo by iStock

小麦には中毒性がある!

また、前出の医師、溝口氏はある80代男性患者の事例を紹介する。

「男性がイライラして怒りっぽくなったと、家族は認知症を疑っていたそうです。ある時、その男性が骨折して入院することになった。グルテンフリーを知っていたお嫁さんが、病院食をグルテンフリーにしてもらうよう申請して、男性は入院中小麦抜きの食事を摂ることになったのです。

効果はテキメンで、みるみる癇癪が収まり、心が穏やかになった。認知症ではないかと思いがちですが、原因は小麦にあったのです。

小麦に含まれる『グリアジン』のアミノ酸配列をそれぞれ見てみると、『プロリン』というアミノ酸が並んでいる。

実はその配列がモルヒネにそっくりなのです。モルヒネと似た構造のものが、血液脳関門を通過して、受容体にくっついてしまうと、中毒症状を引き起こします。これが原因でハイになったり、反対にイライラしたりするのです。

グルテンフリーを提案すると『パンやパスタがどうしてもやめられない』と拒絶する人が少なからずいるのは、こうした麻薬的中毒性によるものです」