確定申告で「損する」高齢者が続出中 〜この落とし穴に気をつけよ!

複雑な税制の盲点
週刊現代 プロフィール

③介護保険は負担率で大きく金額が変わる

さらに、介護保険が適用されるサービスを利用している人は、確定申告する際に、自分の所得に注意を払う必要がある。

神奈川県に住む桜井芳樹さん(78歳・仮名)は公的年金で生活している。単身だが足が不自由で、「要介護1」の認定を受けている。

「普段は子どもがサポートしてくれますが、在宅サービスを受けるときもあります。なにかとおカネがかかるので、持っていた株式を損覚悟で切り崩して売却しました。
翌年、雀の涙ほどの利益が出たのですが、それにより介護サービスの自己負担が2割になってしまったのです」

介護保険は、単身世帯なら年金も合わせて280万円以上の所得があれば自己負担割合が2割になるが、桜井さんはこのラインを越えてしまった。要介護1の認定を受けている場合、1ヵ月あたりの在宅サービスの最大自己負担額は1万6580円。これが2割になると、月1万円以上の負担増になることもある。

当然、要介護度が重くなればなるほど、負担率が変わってしまうことで家計は大きなダメージを受けるのだ。

 

④ふるさと納税は申告漏れに注意

また、いま大人気の「ふるさと納税」についても、確定申告を行おうとしている人は注意する必要がある。

ふるさと納税は自分で選んだ自治体に寄付金を送ることで、一定の金額の所得税および住民税の控除が得られるしくみになっている。そのうえ豪華な返礼品がもらえるのでメリットは大きい。

「ワンストップ特例制度」と呼ばれるしくみを利用すれば、確定申告をしなくても控除が受けられるのでお手軽だ。

ファイナンシャルプランナーの松永大輝氏は次のように語る。

「ただし、この特例制度は確定申告をする場合は受けられないのです。だから別途書類を提出する必要がありますが、ここで特に注意しなければならないのが、確定申告者は『寄附金受領証明書』の提出が求められることです。この書類がない場合、せっかくふるさと納税をしても税控除を受けることができません。

申告の際、うっかり『ワンストップ特例制度』と勘違いして証明書を出し忘れてしまった、ということにならないように気を付けてください」

たしかに有益な控除もあるとはいえ、思いもよらない落とし穴が多数待ち受けている確定申告。東京都内のある税理士は次のように指摘する。

「税理士としても、つい控除の計算を優先しがちなので、社会保険料との差し引きまで頭が回らない場合もあります」

確定申告は手間がかかり、算定もかなり複雑なので、それだけで大きな負担になる。払いすぎた税金は取り返したいが、労力を割いて「行って来い」どころか損が出ては意味がないのだ。

「週刊現代」2017年3月18日号より