来週3月14、15日に開催される米FOMCでは、昨年12月13、14日のFOMC以来の利上げが実施される公算が強まっている。マーケットでもほとんどの人が利上げを予想する展開となっている。
FRBは現在、いわゆる「出口政策」を慎重に進めている最中である。
出口政策では、マーケットにできるだけ「サプライズ」を与えず、穏便に政策金利を引き上げていくことが必要なので、現状のマーケット参加者の予想分布を考えると利上げ実施は必至であろう。
問題はその後の展開である。
今回、利上げが実施されるとすれば、3回目となるが、少なくとも、ここまでは、2015、2016年とも利上げは年1回にとどまっており、FRBは極めて慎重なペースで出口政策を進めているといえる。
これは、出口政策の過程で拙速な金融引き締めを実施し、再デフレを招いた1937年の教訓をFRB首脳が生かしている結果といえなくもない。
その1937年の出口政策との対比で興味深いのが、最近の米国のマネタリーベースの動向である。
1937年の出口政策(正確には前年の1936年半ば以降から始まった)では、マネタリーベースを本格的に減少させ始めてから株価が暴落、そして、それに追随して実体経済が急速に悪化した。
そのため、出口政策では、テーパリング(ここでは、マネタリーベースの拡大をやめ、残高をほぼ一定に保つことを指す)の段階まで政策をおしすすめることは比較的容易だが、その後のマネタリーベース縮小のタイミングが難しいということが1937年の出口政策失敗の教訓であると思われる。
(この点について興味のある読者は、原田泰・片岡剛士・吉松崇編著『アベノミクスは進化する』第8章「量的緩和の出口は日本経済にとって危険か」を参照いただきたい)
その意味では、昨年のFRBは、実体経済の悪化を招くことなく、マネタリーベースをある程度大幅に減少させることに成功した。したがって、筆者は2017年もFRBは引き続き、マネタリーベースの減少を続けながら、同時に政策金利であるFFレートを漸次的に引き上げていくと考えていた。