スシロー再上場で激化する回転寿司チェーンの「仁義なき戦い」

かっぱ寿司は赤字転落…
加谷 珪一 プロフィール

回転寿司は値上がりするのか

設備の償却負担が重く、原価率も高いということになると、相当な数の来客がないと利益は出ない。しかも為替の動向を常に気にする必要があるなど、回転寿司はかなり難しいビジネスといってよいだろう。

だが、そうであるが故に、これらをうまくコントロールできれば、大きな利益を上げることもできる。厳しい競争環境にもかかわらず、市場がこれだけ活況を呈していることにはこうした背景がある。

ではスシローの上場をきっかけに、回転寿司の市場は今後、どのような展開を見せるのだろうか。

ファンドという制約条件がなくなったスシローは、上場を期に大型の資金調達を行い、思い切った投資を実施してくる可能性が高い。

まずは店舗数でトップを争いをしているはま寿司との顧客獲得戦争がさらに激化するだろう。

 

はま寿司を経営するゼンショーは、一昨年、牛丼チェーン「すき家」において深夜の1人体制(いわゆるワンオペ)が問題視され、その対応に追われた。だが、すき家のオペレーションの問題はほぼ収束し、業績は回復基調にある。

ゼンショーについても、はま寿司に対する投資余力が大きくなったとみてよいだろう。スシローとはま寿司がどれだけ先行投資を続けられるのかで、両社の勝敗が決まることになる。

Photo by iStock

もうひとつの注目点はかっぱ寿司と元気寿司である。

かっぱ寿司はかつては業界のリーダーだったが、現在は業績の低迷に苦しんでいる。かっぱ寿司は2013年、コメ卸大手の神明ホールディングスと資本提携し、同じく神明と資本関係のある元気寿司との合併が模索された。

だが、1年後に居酒屋チェーンのコロワイドがかっぱ寿司に対して公開買付を行い、同社の獲得に乗り出した。統合は白紙となり、結局、かっぱ寿司はコロワイドの傘下に入っている。

回転寿司大手の中で、元気寿司とかっぱ寿司の店舗規模は小さめで、両者のビジネスモデルは近い。コロワイドの事業戦略に依存する話ではあるが、再び元気寿司との統合という話が出てきてもおかしくない。

各社の中で異彩を放っているのがくら寿司である。くら寿司は1店舗あたりの売上高もスシローに近い水準となっており、利益率も高い。しばらくは独自路線の追求が続くことになるだろう。

トランプ政権の誕生で今後は円安になる可能性が高まっており、一部の関係者は回転寿司も値上がりするのではないかと心配している。

だが筆者はそうはならないと見ている。顧客獲得競争から簡単に値上げはできないからである。回転寿司の競合が激しくなることは、各社にとっては荒波かもしれないが、利用者にとっては朗報だ。しばらくの間は、以前と同様、安く回転寿司を楽しめそうだ。