スシロー再上場で激化する回転寿司チェーンの「仁義なき戦い」

かっぱ寿司は赤字転落…
加谷 珪一 プロフィール

牛丼チェーンも殴り込み

回転寿司市場をおおざっぱに分類すれば、味や品質をウリにして客単価を高めに設定するスシロー、くら寿司に対して、安さやエンターテインメント性で勝負するはま寿司、かっぱ寿司、元気寿司という図式になる。

だが、以前の回転寿司市場は、現在とはだいぶ異なっていた。かっぱ寿司が高いシェアを持ち、業界のリーダーだった時代が長く続いた。ここに外部から殴り込みをかけてきたのが牛丼チェーンのゼンショーである。

 

回転寿司の潜在力に着目したゼンショーは回転寿司市場への参入を試み、2007年にかっぱ寿司を展開するカッパ・クリエイトに資本参加した。しかし、資本提携からわずか半年で両者の関係は崩れ、1年後には提携関係を解消してしまう。

ゼンショーは同じタイミングで、今回、上場するスシローの買収も目指していた。

創業家の内紛をきっかけにゼンショーは株式の一部を取得することに成功したものの、一方で投資ファンドもスシローの争奪戦に参加。最終的にゼンショーはスシローから撤退し、同社はファンドの傘下で経営を続けることになった。

今回の再上場は一連の資本関係の整理がすべて完了したことを意味している。

スシローの買収に失敗したゼンショーはその後、方針を転換し、自社の回転寿司チェーンである「はま寿司」の展開を強化した。牛丼チェーンのノウハウを生かして急激に店舗を拡大し、はま寿司はスシローに並ぶ規模にまで成長。売上高ではスシローに水をあけられているものの、店舗数ではほぼ互角の状況にある。

ゼンショーとの資本関係を解消したかっぱ寿司には、その後、元気寿司との合併話が持ち上がったが、最終的には居酒屋チェーンを展開するコロワイドの傘下に入り、現在に至っている。

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回転寿司は完璧な設備投資産業

回転寿司の競争が激しいのは、飲食店としては珍しく、初期投資の大きい設備投資型産業であるという部分が大きく影響している。回転寿司は、ベルトコンベアーやすしロボット、個別注文を受け付けるタッチパネルなど、一般的な飲食店に比べて多額の初期投資が必要となる。

1店舗あたりの設備は平均すると数千万円レベルになっており、大きめの店舗の場合、新規出店時に1億円以上の投資を行うケースもある。

しかもこうした機器類は早期に償却する必要があり、顧客の回転率を高めに維持しなければならない。確実に集客できる場所に店を出せなければ減価償却を捻出できないので、出店戦略においては緻密さが求められる。

これに加えて原価の管理が難しいという課題もある。通常、飲食店の原価率は20~30%程度であることがほとんだが、回転寿司チェーン各社の原価率は40~50%程度とかなり高い。食材の中には輸入品も多く、為替の影響を受けやすい。

回転寿司チェーン各社の輸入食材に対するスタンスは様々で、できるだけ為替の影響を受けないよう工夫するところもあれば、価格を優先して輸入食材を多用するところもある。

カッパ・クリエイトは、2016年4~12月期の決算において6億6200万円の営業赤字に転落し、2017年3月期の見通しについても9億3400万円の営業赤字を見込んでいる。

直接的な原因はオペレーションの失敗だが、その遠因となったのは円安である。

かっぱ寿司は低価格路線を追求するため、積極的に輸入食材を活用していた。円高のうちはよかったが、円安への転換で食材価格が急騰。

メニューの工夫で原価率を調整することができず、業績が悪化した。立て直しを図るため路線転換を行ったものの、これが裏目に出てしまった格好だ。