震災復興「ヤレヤレ詐欺」の現実〜国の政策失敗の「闇」を読み解く

「地方創生」のホントのところ
熊谷 達也 プロフィール

本書で紹介されているのは、いずれも人口が10万から30万程度の地方都市であるのだが、どこも中心市街地は市民で賑わい、バラエティに富んだ個人商店が建ち並んでいて、シャッター通りとは無縁のようだ。

注目すべきなのは、フランスも日本同様の車社会で、以前は街の中心部に自動車があふれ、郊外には巨大なショッピングセンターが続々と登場したとのこと。それがこの20年間で、郊外型大型店と個人商店が共存する形に変わってきたという。

ポイントとなったのは、都市計画に最初から織り込まれた交通政策である。LRT(次世代型路面電車)などの交通システムを導入して街の中心部から自動車を可能な限り排除し、歩行者優先の「歩いて楽しいまちづくり」を目指してきたのだ。

そこで面白いのは、この計画が実行される前、個人商店主たちは街の中心部からの自動車の排除に、お客が来なくなるとしてこぞって反対した、という事実があったことだ。

 

こうした思い切った政策が可能なのはなぜなのか、本書では都市交通以外にも様々な視点からレポートされていて、読んでいるうちにフランスの地方都市に住みたくなってきたくらいである。

それでは、フランス人とはだいぶ気性が違うように思えるドイツではどうなのか。さらに興味が湧いて手にしたのが『ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか』である。

本書が主に取り上げているのは、エアランゲンというドイツ南部の人口が10万人ほどの地方都市で、決して観光の街ではない。しかしやはり、フランスの地方都市と同様の賑わいが街にあるのがよくわかる。

もちろんフランスのそれとは違う部分もあるのだが、共通しているのは、街の中心部の広場や通りから自動車を追い出し、歩くことが楽しめる街になっているという点だ。また、両国とも、エコロジカルな交通手段として自転車利用を促進する街づくりをしているところも共通していて興味深い。

いずれにしても重要なのは、自治体が裁量権を持てる統治構造になっていることと、市民の代表である自治体の首長が、街づくりに対する明確なビジョンと思想を持っている、という点であるのは間違いなさそうだ。

週刊現代』2017年3月18日号より