「お笑いビッグ3」タモリだけがうまく生きている「これだけの理由」

「今を肯定して生きればいい」
週刊現代 プロフィール

タモリと昨年亡くなった大橋巨泉氏との共通点を指摘する人も多い。二人ともジャズ畑出身。知識が豊富で、遊びの達人、名司会者でもある。だが巨泉氏が国政や社会について警告を発し続けたのとは違い、タモリにはどこか世間を達観しているような部分がある。

それは、タモリが「他人に期待していない」からかもしれない。タモリはインタビューで「他人に期待などしなければ、つまらないことで感情的にならずにすむ。そうすれば人間関係に波風も立たなくなり、円満にだれとでも付き合える」と語っている。

タモリ伝』の著者である片田直久氏は、こう分析する。

「元々早稲田大学でジャズをやっていたのも影響していると思う。本当は熱いんだけど、それを押し付けがましく見せない。一種のダンディズムを感じます。決して力まず、ジャズらしい脱力感を大切にしている」

「やる気のあるものは去れ」――これはタモリが、ニッポン放送の新年行事でスタッフに向けて書いた有名な格言だ。

 

「ガツガツしてもいいんだけど、それを表面に出すことをタモリさんはあまり好まない。誤解してほしくないのは、適当っていうのは、いい加減という意味ではなく、無理に気張らずに適度に肩の力を抜いてやろうよということ。それがタモリさんの哲学なんです。タモリさん自身がいい意味で適当な人間ですから」(前出の片田氏)

タモリ自身は好感度について昔からまったく意識していない。実際「人に好かれようとする自分が嫌い」とも語っている。

そんなタモリの性格を表すような発言がある。昨年『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で、ビストロSMAPの最終回のゲストとして出演した際のこと。

タモリは解散するSMAPのメンバーに対して「友達なんかいらないって。俺、あの歌が大嫌いなんだよ、小学校に入ったら『ともだち100人できるかな』って。そんなことで人生決めんじゃないよ。今どんどん友達減らしていってる」と語った。この発言に「タモリさんに救われた」と、共感の声が一気に広がった。

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ネチネチもくよくよもしない

そもそもタモリは、お笑い芸人やスターになりたいと思って、この世界に入ってきたわけではない。前出の山下氏が振り返る。

「タモリは昔からギラギラしてなくてヘラヘラしていました。むしろ『どうせ俺は……』みたいな感じで、目標とか野望が垣間見えることはなかった。でもそれが逆によかった。タモリの今があるのも、生き方自体にそんなにこだわりがなく、流されるまま面白そうなところについていったからだと思いますよ。

タモリは何事にもこだわらないところが良い。変にネチネチしていない。きっと自由を愛しているんです。さんまさんやたけしさんは、芸人であるということをしっかりと自覚されているけど、タモリは自分で芸人だとは思ってないでしょう」

あくまで「自然体」で生きる――くよくよしない。それがタモリの生き方である。

「タモリさんは未来にも過去にもこだわらない人なんです。『現状維持』というのがタモリさんの座右の銘であるように、5年先のことなんて誰も分からないし、いくら過去を悔やんでも取り戻せないんだから反省もしない。それだったら今を肯定して生きればいいと。

だから年齢にもまったく縛られていない。ある時から『いいとも!』でもタモリさんの誕生日を祝うのをやめました。タモリさんにとっては何歳になったというのは重要じゃないんです」(前出の鶴間氏)

タモリ曰く「自分も含めて皆、大した人間じゃない」。「気負わずもっと自然体で生きればいいんだよ」とタモリは教えてくれている。

「週刊現代」2017年3月11日号より