元西武「左のエース」帆足和幸が選んだ「バッピで燃え尽きる」人生

通算90勝、日本シリーズでも大活躍
週刊現代 プロフィール
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誰かのために働く

前出の荒木氏は、帆足の広報としての仕事ぶりをこう語る。

「ついこないだも、キャンプ取材中に、遠目で帆足の仕事ぶりを見ていたんです。そしたら、こちらに気がついて『荒木さん!』とニコニコしながら寄ってくる。ああいうかわい気のあるところは、現役時代から変わらない。

若い選手にも偉ぶらず、同じ目線でコミュニケーションがとれている。これまで、裏方に回っても実績が邪魔をして傲慢な態度が抜けない人間を、少なからず見てきました。でも、帆足は素直で謙虚。『ああ、コイツは誰かのために働ける人間だな』と、安心しました」

広報になった帆足がとりわけ気にかけているのが、西武時代からのチームメイトである松坂大輔(36歳)の存在だ。社会人と高卒という出身の違いはあれ、1歳違いの二人は昔からウマがあった。

「僕のほうが1つ歳上だけど、アイツは入団からずっと『帆足クン』って呼んでくる(笑)。生意気なんです。

でも、いろいろ言う人はいるけれど、アイツほどもう一度一軍のマウンドに上がる姿を日本中から期待され続けている選手は他にいない。松坂の(日本球界での)11年ぶりの勝利を裏方として、バックアップできたらと思っています」

そして、帆足が掲げる最大の目標が「一流のバッピ」として、マウンドで持てる力を尽くして投げ続けることだ。

「ゆくゆくは指導者の道に進みたいと、ぼんやりとは考えています。でも、いまはバッピの道を極めることしか考えていない。うちのチームにも、みんなから『投げて欲しい』と言われる一流の大先輩たちがいる。自分も、ああいう風になれるまで、力の限り投げて投げて、投げまくりたい。そう思っています」

かつて、エースとして華々しい道を歩んだ男がファンの声援を浴びることは、もうない。だが、彼は新たな目標を胸に、今日もマウンドに立つ。

「週刊現代」2017年3月11日号より