黄金時代も今や昔…死に体の「香港映画」に復活の道はあるのか?

ルポ・香港返還から20年【後編】
松岡 環 プロフィール

風景が変わる

今回の香港滞在で目を奪われたのが、インドネシアから来ているお手伝いさんたちの姿だった。1990年代はフィリピン人のお手伝いさんがほとんどだったのが、やがてインドネシア人が増え、今では両者はほぼ同数である。休日の日曜日、モスクに集まる彼女たちのカラフルなヒジャブ姿を見ていると、16万5750人(2015年)もいる彼女たちの底力を感じずにはいられない。

モスクの階段に座っておしゃべりする、ヒジャブ姿の女性たち photo by Tamaki Matsuoka

反対に今回の香港滞在で意外だったのは、中国からの観光客が少なかったことだ。ちょうど春節の休みが終わり、しばらくした頃だったので、一時的に波が引いた時だったのかも知れない。

だが、最後に空港へ向かう空港エクスプレスの中からは、現在急ピッチで建設が進む「港珠澳大橋」の工事現場がよく見えた。海中から突き出た橋桁が、香港と珠江・澳門(マカオ)を一直線に繋いで、さらに香港を中国本土に近づけようとしているかのようだ。

次の香港滞在は、3月26日の香港特別行政区行政長官選挙直前になる。また、新しい風景を見てみたいものだ。

(※前編はこちら

松岡 環(まつおか・たまき)アジア映画研究者、字幕翻訳者。麗澤大学、国士舘大学非常勤講師。大阪外国語大学(現大阪大学)でヒンディー語を学び、インド映画と香港映画を中心に、アジア映画の紹介と研究に従事。著書に『アジア・映画の都/香港~インド・ムービーロード』(めこん/1997)、『レスリー・チャンの香港』(平凡社/2008)など。
『ムトゥ 踊るマハラジャ』以降のインド映画を、その変化を踏まえつつ分析し、歌って踊るマサラムービーだけでない「新感覚インド映画」とも呼ぶべき、現在の多様な魅力を紹介する。見るべきインド映画、インド映画の大スターたち、インド映画の歴史、データと資料など、盛りだくさんの内容。