【東芝問題】社員19万人の巨大企業はなぜこんなことになったのか

決算延期の舞台裏を語り尽くす
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もう法的整理しかない

竹内 では、東芝はこれからどうなっていくのでしょうか。現在は半導体部門の四日市工場が過去最高益を叩き出すほどに稼いでいるからいいですが、半導体事業はハイリスクハイリターンの浮き沈みが大きいビジネス。

さらに、半導体事業は毎年のように巨額投資を続けないと、ビジネス優位性を保てない。いまの東芝のどこにそんなおカネがあるのでしょうか。

磯山 虎の子を次々に売っている状態で、このままいけばカスのような事業しか残らない会社になっていくのは目に見えています。

言ってしまえば、東芝はすでに一企業として死にかけているようなもので、ある取引先行は、「新規融資にはもう応じない」と言っています。ここまでくると、法的整理に早く踏み切ったほうがいいでしょう。

日本では会社を潰すのはよくないことだと考えられていますが、むしろ法的整理をして銀行にも責任をかぶってもらうことで過大な負債さえ処理できれば、そこから再生への展望はいくらでも開けます。

逆に、このままズルズルと負債が膨らめば、いざ倒れた時には社員の年金などが壊滅的な打撃を受けかねない。19万人の従業員の将来を考えれば、いま決断が下されるべきです。

 

小野 法的整理をして債務関係を処分して、原発事業についてもきっちり交通整理できれば、産業革新機構などがスポンサーとして東芝に出資することも十分にできます。

竹内 問題は、その決断をいまの役員陣ができるのか。かつての自分もそうでしたがずっと同じ事業にいると、会社全体というより、自分が育ってきた事業部門を守ろうというインセンティブのほうが強くなってしまうのではないか。

小野 そうなると、決断できるのは、外から来た社外取締役ということになるでしょうね。

磯山 東芝の株は、3月半ばに上場廃止の恐れのある『監理ポスト』に入れられ、ここから東証の審査を受けて上場廃止の是非が決められます。結論が出るのは6月頃でしょうが、果たしてそこまで上場していられるだけの利益や資産が保てているかどうかもわかりません。

竹内 このままでは、売れる事業を売り尽くしたら終わりということになってしまう。

磯山 そんな末期的状況に追い込まれて破綻となれば、一番痛みを負うのは東芝の社員です。数字の帳尻合わせは、早晩行き詰まることは目に見えています。東芝経営陣は3月決算を作る前に、決断したほうがいい。

小野 経営陣には、会社や東芝というブランドを守ろうとするのではなく、個々の社員や事業を守る意思を見せて欲しい。会見での経営陣の姿を見た限り、それも期待できそうにはありませんでしたが。

磯山友幸(いそやま・ともゆき)
62年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒。日本経済新聞社入社後、フランクフルト支局長などを経て、'11年に独立
小野展克(おの・のぶかつ)
65年生まれ。慶應大学文学部卒。共同通信社入社後、日銀キャップ、編集局経済部次長などを経て、'12年から嘉悦大学へ
竹内健(たけうち・けん)
67年生まれ。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。元東芝研究開発センター研究員。'12年から中央大学理工学部教授 

「週刊現代」2017年3月4日号より

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