日テレ『イッテQ』はなぜここまで強いのか? その緻密な戦略と計算

お化け番組の舞台裏を探る
週刊現代 プロフィール

フジテレビをはじめとして、民放各局には一般視聴者も名前を知っている有名プロデューサー、スタッフが数多くいるが、日テレでは、本来裏方の彼らが前面に出てくることは少ない。

しかし、いまテレビ業界では、『イッテQ』の総合演出を務める古立善之氏を知らない人はいないという。

「間違いなく日テレのエースの一人。視聴者のニーズを汲み取るのに非常に長けています。テレビ番組はやはり制作者が主体となって企画意図をもって、作るべきなのです。

これが上手いのが日テレ。『イッテQ』はまさにその典型です。フジの『フルタチさん』の現場スタッフはよく冗談で、そっちのフルタチさんのところに移りたいって言っていますね(笑)。

実際、勢いのある『イッテQ』には、各局でゴールデン番組に携わっていた凄腕の制作会社スタッフが集まっていますよ」(番組制作会社ディレクター)

この古立氏を含めた『イッテQ』のスタッフはとにかく編集が巧みなのだという。

「企画も面白いのですが、テロップやナレーションを入れる間合い、言葉選びが絶妙なんです。イモトや宮川大輔の一瞬の表情を切り取るのも上手い」(前出・ディレクター)

他局の番組と見比べるとそれは一目瞭然なのだという。細部へのこだわりが高視聴率の秘訣なのかもしれない。

 

当たり前のことはやらない

別の日テレの番組制作会社スタッフが言う。

「『イッテQ』の制作費は日テレ内では高いほうですが、他の民放のゴールデン番組と比べればだいたい同じぐらいでしょう。でも、他局ではそれをビッグなタレントさんのギャラに使いますが、『イッテQ』は海外ロケの費用に使うというわけです。

その手間のかけ方が違う。1回の放送の数十分のVTRを作るために、いまや大御所であるMCの内村さんを5~6日拘束して海外ロケをしたこともあります。もはや安易な『内輪ネタ』や『楽屋オチ』ばかりの番組では、視聴者に楽をしていると見抜かれてしまうんです」

タレントもスタッフも必死になって汗をかいて、海外ロケをする。それに視聴者は惹きつけられる。

前出の加藤制作局長はこう語る。

「私がよく言っているのは、『マーケティングの裏を張れ』ということです。『イッテQ』は、まったく逆張りです。ヘビやカエルを画面に出すと、その瞬間に女性がチャンネルを換えてしまうというのが、データ的にも出ています。でも、それが面白いと思ったら、他局はどこもやっていないのですから、やる価値はあります。

登山もそうです。長時間景色が変わらず、疲れてくるとタレントもしゃべらなくなります。だから、バラエティには向きません。でも、『だからやる』と。そういう感覚は大事にしています」

日テレの日曜夜の天下はまだまだ続きそうだが、前出・岩崎氏はこう言う。

「最近はTBSが挑戦的なバラエティ番組を作っており、フジテレビも再起を図ろうとしています。好調の日テレに各局が対抗して、切磋琢磨することは視聴者にとって非常に良いことです」

日曜夜に家族そろってテレビを見る。これを幸せと言わずなんと言う。

「週刊現代」2017年3月4日号より