村主章枝独占告白「私がすべてを脱いだ理由」

ヌード撮影秘話
週刊現代 プロフィール

――年齢による肉体的限界も迫る中、彼女は競技生活を続けた。そこには、常に揺るぎない、ひとつの〝目標〟があった。

'10年のバンクーバー、そして'14年のソチと、最後の最後までオリンピック出場にはこだわり続けました。トリノでは納得のいく演技ができたのに、メダルに届かなかった。

だからその後、「自分には何が足りなかったんだろう?」という自問自答が始まったのです。その答えがわかるには、もう一度オリンピックの舞台を経験しなければと思っていました。

しかし、ケガもあって、オリンピック選手の選考の参考にされる全日本選手権や、その手前の予選会で落ちてしまうようになった。膨大な時間と労力を費やしているのに結果がついてこないのは、本当に苦しかったです。

「もう引退したほうがいいんじゃないか」という周りからの声も、もちろん耳に届いていました。でも、リンクを下りようとは思わなかった。それは、私の求める「結果」というのが、オリンピックなどの大きな大会で成績を上げることではなかったからです。

私の目標は、とにかく「いい作品を世に送り出したい!」ということ。そこだけはいつでも、まったく揺らぐことはありませんでした。そして、そういった「思い」が強いことが自分らしさだと気付くことができました。

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ヌードに抵抗はなかった

ただ、素晴らしい作品を滑る技術を身につけたら、今度はそれを作る側になりたいという思いも湧いてきた。ちょうどその頃から、若い選手の指導の依頼が来るようになりました。

日本スケート連盟の規定では、選手生活を続けながらの指導はできないので、'14年、そろそろ次のステップに移ろうということで、現役引退を決めたんです。

――現在は、振付師兼コーチとして10代の若い選手たちを指導しながら、芸能界という新しいフィールドにも挑戦している村主。その胸には、選手のときと変わらぬ目標が今も輝く。

日本とカナダを行き来して子どもたちを指導していますが、本当に大変です。私の振りを見て、そのまま完全にコピーできる子がいるかと思えば、音楽のカウントを取ってあげないとわからない子もいる。

「これならできるだろう」と思ったことが通じず、その場で新しいアイディアを次々提案して……。日々、その繰り返しですが、そのことは今、すごく作品作りの勉強になっています。

そして、作るという点では、写真集も同じだったんですよね。

現役時代から作品のテーマ性にずっとこだわってきたので、この写真集にも、スケートのプログラム同様、強く訴えかけるものを込めたかった。ページをめくっていくことでストーリーが伝わるようなものにしたいと考えました。

カメラの前で演じてみると、ちょっとした指の角度や、光の具合で雰囲気が変わることがわかりました。メダリストでもない私にこうしたチャンスをいただけたことは、本当に光栄なこと。メディアでのお仕事は、表現活動のひとつとして、これからも取り組んでいきたいと思っています。

ヌードになったことについては……自分では「どうして驚かれているんだろう?」と、逆に驚いていますね(笑)。

幼少期から、海外での生活が長かったせいでしょうか。欧米では、何か主張したいことがあるときに人がヌードになるということはよくあるので、私自身もあまり抵抗は感じませんでした。

資金難で苦労したので、世間では「お金のために脱いだ」なんて言われることもあるようですが、ぜんぜん違います。

私にとってはスケートが、そしていい作品を作ることがすべて。ですから今回の写真集は、「ヌードの村主章枝」ではなく、写真という静止画の作品、その全体の表現として受け取っていただけたら、うれしいですね。

[取材・文/大谷道子]

「週刊現代」2017年2月25日号より