「都議会のドン」内田茂、引退の真相〜本当に小池の勝ちなのか?

激震の都政・内幕レポート
鈴木 哲夫 プロフィール

「ドン」が見せた最後のプライド

ところが、ここで伸晃氏が突如「会長を来年(2016年)夏の参院選までやる。東京の候補を勝たせる」と参院候補の支援者を前に公言し、執行部をあと1年継続させる流れを作ってしまったのだ。

その理由は「当時伸晃さんは国政での役職もなく、都連会長が唯一の肩書だった。これを手放したくなかったようだ」(前出幹部)という。

これによってお目付け役の内田氏も、あと1年そのまま幹事長で続けるという話になり「内田氏はしぶしぶ、仕方ないなと受けた」(同幹部)のだ。その後に舛添問題が起き、小池知事が誕生してしまった。

「そもそも、小池さんは内田さんを敵視しているが、それまで二人がどれほどの関係だったか。内田さんは『あまり話したことないんだよなあ』と言っていたほど。

しかし、知事に就任したばかりで後ろ盾のない小池さんにとって、戦う姿勢を都民に見せることや、改革を進めていくうえで内田さんが最高のターゲットだったことは間違いないし、内田さんに狙いを定めて対立構図を作って行った」(同)

この構図は都民だけでなく誰がみても分かりやすい。それゆえにメディアも「小池vs.ドン」、「東京にはブラックボックスがある」という構図を仕立てて、日々これを報道したのだ。

こうして見ると、すでに引退は既定路線だったが、政争の中で別の意味を帯びてしまったというのが、内田氏引退の真相である。

内田氏本人は25日に記者団に「体調のこともあり、早くから(議員引退の)決意をしていた」と語ったが、この言葉から、一昨年から水面下で引退に向けた話し合いが進められていたということをはっきりと見て取れる。

 

前述の通り、自民党は「ここで内田氏を引退させ、対立構図を解消する」という老獪さを見せている。

だが、これに気づかない小池知事ではない。ならばと「次期都議選では小池派の候補を70人擁立して、単独過半数を狙う」と小池氏周辺が話しているように、敵が不在ならば味方を増やせばいいと一気に攻勢をかけるつもりのようだ。

「小池さんにとっては、内田さんがいなくなることは敵失になります。それならば『自民党』という巨大組織そのものを敵にして、70人擁立して、一気に単独過半数を目指すという、さらに上を行く大きなケンカを仕掛けたということです」(小池氏を支援する都議会会派幹部)

「政界を引退するわけではない」

内田氏はぶら下がり取材でこう付け加え、可能な限り政治活動は続けていく意思を示したが、この言葉には「決して小池との戦いに負けたのではない」という、「ドン」の最後のプライドが込められている気がしてならない。(了)

(*3ページ目までは「月刊リベラルタイム」筆者出典を大幅加筆しました)