東芝が上場廃止をすると、日本経済には一体どんな影響があるのか

変わるものと変わらないもの
田中 博文 プロフィール

以下は、東証本則市場(市場第一部、市場第二部)の上場審査の審査基準である。

いかがだろうか。

継続性・収益性については、この第三四半期で債務超過となり、注記として継続疑義(ゴーイングコンサーン)が記載される可能性が高い。内部管理体制は、WEC買収時、またその子会社であるCB&I買収時のリスク要因の踏み込みが足らず、この多大な減損を計上してしまい、更には一部の経営者からの不適切なプレッシャーがかけられ、しかもそれが明らかになったのは、内部告発によるものだった。

開示については二度の決算開示を延期している状況である。

私は証券会社で上場準備の発行体に上場していただくために、内部管理体制構築のお手伝いをさせていただいたが、上記の内容であれば、上場審査合格は到底無理な話である。

当然だが、上場審査基準とは上場準備の発行体が目指すだけのものではなく、上場している発行体そのものも、そのレベルを維持していることが前提である。

 

この1ヵ月で内部管理体制の構築は困難

内部管理体制が適切に機能しているか否かにについては、今般のCB&Iの買収は当初のれんが100億程度と考えていたのが、突如として全体で7000億円を超える減損損失が出るなど、その買収案件のデューデリジェンスを含めたリスクファクターの認識の甘さ自体が、十分内部管理体制の不備とも言えるために、これ一発で十分上場廃止になると言える。

更には一部報道では、昨年12月、急きょ米国に調査に向かった志賀重範会長(15日で辞任)がWECのダニー・ロデリック会長と共に、WEC幹部に対し、東芝にとって「有利な会計になるように圧力をかけた」とされる。

経営者であれば、監査で認められる範囲内で、「有利な会計」になること自体は問題ないが、それを目的として「圧力」をかけたとなると、それは問題であろう。

そして、仮にWECで内部統制上の問題が持ち上がったことで、その実態が把握できたとしても3月15日までに「内部管理体制が整った」と言える状態になるのかどうか。

通常は内部管理体制が適切に運営されているか否かを判断するためには、その管理体制の運用期間が必要である。

東芝は上場審査基準を維持できていない Photo by GettyImages

東証は東芝から提出される内部管理体制確認書をもとに、その運用を確認するが、本来、特設注意銘柄の指定解除のための内部管理体制の運用期間は1年であり、東証はその運用の結果を審査した上で、特設注意銘柄の指定解除を行う。

しかし東証は、昨年12月19日に、

「同社では、同社株式を特設注意市場銘柄に指定した後においても会計処理等に関する問題が確認されるなど、コンプライアンスの徹底や関係会社の管理等において更なる取り組みを必要とする状況が存在しており、これらの改善に向けた取り組みの進捗等についてなお確認する必要がある」

と内部管理体制の構築が不十分として、特設注意銘柄の指定延長を行ったばかりであり、その渦中での今回の開示延期である。

普通に判断すれば、この状況下、今まで1年以上かけて出来なかったものが、これから1ヵ月月程度で適切な内部管理体制が構築できるとは考えにくい。

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