東芝19万人、さようなら…実はさらに1兆円の「隠れ損失」リスクが!

銀行団に見捨てられて、 ジ・エンド
週刊現代 プロフィール

刻一刻と瀬戸際に追い詰められている東芝にとって、当面の資金繰りを回すためにできるのは、事業や保有資産の「切り売り」くらいしかない。実際、いま東芝は虎の子の事業である半導体メモリ事業部門の「分社化」を進めている。

「スマートフォンの記憶媒体などに使用され需要が急伸し、高い競争力を持っている『稼ぎ頭』を本体から切り離して新規上場させ、外部からの資本を募ることで資金の獲得を目指すという目論見です。

ただ、東芝は半導体メモリ事業部門を完全に手放すつもりはなく、新会社に対する外部資本の受け入れは最大でも20%程度までに抑える方針。これでは、購入先が思うように会社をコントロールできずメリットが少ないため、あまり高い値段はつかない」(全国紙経済部記者)

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もう売れるものがない

しかも、'15年の粉飾発覚以降、東芝はこれまでに医療・家電などの主力事業や閉鎖する工場の土地などの資産を切り売りしていて、その売却資産の総額はすでに1兆円にのぼる。

今回ついに半導体メモリ事業まで手放すことになれば、東芝にはもう、「売り物」がほとんど残されていない状態になってしまう。

「残りの上場子会社は、売上を東芝グループ内部に依存しているところが多く、切り売りしても買い手にとっての旨味はあまりない。ましてや、東芝エレベータなどの非上場子会社になると、売却できたところでたかが知れている。

それとは別に、東芝が保有する鉄道やテレビ局をはじめとした上場企業の株式をすべて売却したとしても、500億円にも満たない。これでは、『焼け石に水』です」(前出・東芝関係者)

 

損失のあまりの大きさゆえに、持てるすべてを差し出したとしても自助努力での再建は不可能。

もはや、東芝には銀行に泣きつき、金融支援などの救済措置を求める他に手はない。
だが頼みの綱の銀行団も、沈みゆく巨艦から逃げ出す兆しを見せ始めているのは、冒頭説明したとおり。

銀行団からすれば、みずから「手を引く」ことが東芝崩壊のトリガーとなれば、グループ全体で19万人にもなる社員とその家族を路頭に迷わせ、日本経済に大ダメージを与えた「戦犯」として批判されかねない。

さりとて、どんなに資金的な余力のある銀行でも、一企業に注入できる資金には限りがあり、どこかで「見切り」をつけなければ、今度は自分たちの経営が危うくなる。

「工期が大幅に遅れている中国での原子力発電所建設工事の収益性の悪化や、'11年に買収したスイスの電力計メーカーの業績の不透明さなど、東芝にはまだまだ多くの損失リスクが待ち受けていて、いつ、どこから次の火が噴いてもおかしくない状態。

深入りすれば致命的なダメージになる。銀行が決断するなら早いほうがいい」(前出・取引行幹部)

日本を代表する巨大電機メーカーが「消滅」する日が、刻一刻と近づいている。

「週刊現代」2017年2月25日号より