眠りが浅い、何度もトイレ、疲れが取れない…そんな悩みも即解決!

深い眠りと爽快な目覚めを取り戻す
週刊現代 プロフィール

「早寝早起き」はよくない

何時から何時まで寝なければいけないという思い込みを捨てるのが、まずは大切なのだ。千葉大学大学院医学研究院の巽浩一郎教授が解説する。

「高齢になると睡眠の質が変わってくる理由には、神経細胞の老化現象が関わっています。オレキシンやメラトニンなどさまざまな神経伝達物質が関係していると推測されていますが、睡眠の本質はまだまだ科学的に解明されていないのが実情です。

高齢者の睡眠の質を考える上で重要なのは、昼間の活動も同時に視野に入れることです。昼にちゃんと活動してエネルギーを使わないと、夜の眠りが浅くなり、寝ても疲れが取れないということになります」

夜眠れないと昼間にやたらと眠くなり、また一日の活動量が減る――このような悪循環に陥るのは、とりわけ定年後、積極的に人と会ったり、出歩いたりする予定をもたない男性に多く見られる。スリープクリニック調布の遠藤拓郎理事長が語る。

 

「うちの患者さん(70歳、男性)に16時に風呂に入り、17時に夕食、19時には寝てしまうという人がいます。その人は、夜中の1時になるとぱっちり目が覚めるといいます。そして、夜明けまで眠れないと思いながらもウトウトとして、日の出とともに犬の散歩に出る。

しかし、こんな朝早くに強い光を浴びると体内時計が修正されて、1日が23時間になってしまうことがわかっています。するとその日は、もっと早く寝たくなってしまう。高齢者は体力がないから早く寝たくなりがちですが、それは睡眠の質を下げてしまう。

くだらないテレビを見て笑ったり、家族と話をしたりして、23時、24時まで起きていたほうがいい。そうすれば、朝6時、7時まで眠ることができます。早寝早起きがいいというのは、おそらく平均寿命が50歳くらいだった時代の話で、今の高齢者にはあてはまりません」

睡眠時のトイレ問題は、高齢者の悩みの種の一つだ。トイレに行くと明かりを付ける。それが脳を覚醒してしまい、二度寝を妨げるという問題が生じる。

「人間は光刺激があると深い睡眠に入らない。一度覚醒してしまうと、覚醒から睡眠へのサイクルに戻るのが難しいのです。また、トイレの後、冷たい水で手を洗うのも覚醒を引き起こすのです」(前出の巽氏)

夜間の頻尿は眠りを浅くし、眠りが浅くなると、ちょっとした尿意でも目が覚める。おしっこのコントロールは睡眠の質と密接に関わってくる。

高齢者になってトイレに頻繁に行きたくなるのは、膀胱の機能が落ちていることも関係している。老化現象なので、抗えない面もあるが、治療でよくなることもあるので、男性ならば前立腺肥大、女性ならば過活動膀胱を疑って診察を受けたほうがいい。

他にも、尿意を抑える工夫はある。作業療法士の菅原洋平氏が解説する。

「とくに寒い時期はトイレの回数が増えがちです。それは、骨盤の真ん中の骨である仙骨が冷えてしまっているから。仙骨のあたりは副交感神経節といって、多くの神経が集まっているところなのですが、気温が下がってくると神経活動が盛んになって、腎臓が尿を作りすぎてしまう。

だから腰が冷えた状態で寝ると夜中にトイレに起きてしまうことになります。

寝る前にお風呂で温めるのもいいですが、湯たんぽやレンジで温めるホットパックなどをお尻の部分に当てて置くのもいい」