地方都市の「非正規雇用」急増と格差拡大〜安定を望むことはできるか

構造的問題を解き明かす
貞包 英之 プロフィール

非正規的サービス業の増大

とはいえすべての雇用が、地方から失われたわけではない。図が示すようにその代わりの役割をはたしたのが第三次産業であり、2010年には87683人、就業者全体の73.0%を占めるなど、雇用を吸収する新たな中心になっている。

より詳しくみれば高齢化に伴い医療や介護の必要性が高まったことに加え、郊外への大規模な店舗の出店などで大規模な商業、流通業で雇用が増加している。

では、職の安定という視点から見れば、こうした状況は望ましいことといえるだろうか。

 

残念なことに、まずは否というしかない。そもそもサービス業は労働集約的な産業として好不況の影響でリストラされやすく、また賃金を抑えられやすいためである。

それに加え、近年の人口減少がとくに地方でのサービス業の展開を不安定なものにしている。医療や介護の利用者になる高齢者でさえ、率は上がりながらも、数からいえば郡部を中心にそろそろ頭打ちになり始めている。

さらに将来の経済環境が見通しがたいために、とくに商業では終身雇用的に人を雇うことがむずかしくなっている。近年、地方郊外へのショッピングモールの展開や、街なかの店舗のリノベーションが目立つ。

しかし意地の悪い見方をすれば、それら出店は人口減少が進む中、最後の利益獲得の機会を狙ったもので、長期間の存続をかならずしも想定していない。そのためそこでの雇用も、短期契約かアルバイト的なものにならざるをえないのである。

結果としてサービス産業の比重の増大は、非正規に働く人の割合の増加につながっている。実際、2012年の雇用者中の非正規社員の割合は、第三次産業では42.2%と全雇用者の38.2%を上回り、なかでも卸売業・小売業50.0%、宿泊業・飲食サービス業73.3%、訪問介護事業69.2%などで目立って高くなっている。

問題はこうしたサービス業が、地方の郊外に集まり、地域内の格差を拡大していることである。

格差の程度を示すジニ係数が東京を超える都道府県は、1999年には福島、島根、高知など11県に限られていたのに対し、2004年には宮城、山形、新潟、宮崎などが加わり22県と倍増した。東京のジニ係数が増加したことで、以降それを超える都道府県は減少(2009年には9、2012年には5)したが、数値をみれば多くの都道府県で格差はなお高水準に留まっている(2人以上の勤労者世帯、消費実態調査)。

地方で格差が拡大したことには、年齢構成の変化に加え、地方における仕事の不安定化を無視できない。とくにサービス業で若者を中心に低賃金の非正規の職が増えたことで、2000年代初めに地域内での格差が拡大したのである。