まさかが現実になる!? トランプの日本口撃が怖すぎる

驚くべき知的水準…
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為替相場や株式市場も、大きく振り回されている。1月17日の大統領のドル高牽制発言を受け、ドル円レートは一ヵ月半ぶりに112円台をつけた。

「そもそも、各国の首脳はもとより財務大臣や中銀関係者は、よほどのことがないと為替について触れることはタブー。為替操作だと見なされるからです。しかし、トランプはそんな慣例は無視して、経済界の秩序を破壊している」(経済ジャーナリストの磯山友幸氏)

トランプ発言の問題の根が深いのは、現在の米国政権の中枢部にウォールストリートの関係者が多数いることだ。

財務長官のスティーブン・ムニューチンや主席戦略官のスティーブ・バノンは共に投資銀行大手ゴールドマン・サックスの出身者。また、トランプの娘婿で大統領上級顧問を務めるジャレド・クシュナーはウォールストリートの人脈に深く食い込んでいる。

「彼らはトランプの発言一つで相場が大きく動くことを知っています。情報が漏れてインサイダー取引が行われることもあるでしょう。トランプ政権下で、壮大な相場操縦が行われる可能性だって否定できません」(前出の磯山氏)

安全保障の面でも、日本は新大統領の発言に振り回されている。トランプ氏は選挙前から「日本はもっとカネを出せ、さもないと同盟関係を再検討する」と発言してきた。

「大統領の言葉によって、米軍による抑止力に空洞が生まれています。金正恩にミサイル発射を思いとどまらせる抑止力にかげりが出ているのです」(前出の手嶋氏)

 

北朝鮮を叩き潰す

トランプにとって最大の仮想敵国は、言うまでもなく中国。だから本来、同盟国である日本とは緊密な関係を築かなければならないはずで、それは米軍関係者がいちばんよくわかっている。

実際、ジェームズ・マティス国防長官が、最初の外遊先に選んだのは日本だった。防衛省関係者が語る。

「2月3日の長官の来日は対中牽制、対日重視の現れです。それ自体は歓迎すべきことで、安全保障の面で日米関係が大きく変わることはないと見ています。

しかし一方で、在日米軍の駐留経費の増額を要求されることも間違いない。要求されれば日本は飲まざるを得ないでしょう。もっとも、単純に防衛予算が増額されることになるので、防衛省としては悪い話ではない。

困るのは、アメリカの貿易赤字解消のために、武器の売り込みをされることでしょう。防衛省には、現在米国から購入しているF35の次世代のステルス機は独自開発したいという意向がある。しかし、米国から大量の戦闘機を購入するように要求されると、開発が大幅に遅れることになります」

トランプ氏が現在のような調子で強硬姿勢を崩さないでいれば、さらに恐ろしい事態も想定される。

例えば、北朝鮮がすでに開発の最終段階にあると主張しているICBM(大陸間弾道ミサイル)を発射し、ハワイ近くに落ちるようなことがあれば、にわかに緊張が高まるだろう。

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「これまで日本は国連を基軸にして自衛隊の派遣を決定してきた。しかし、気の短いトランプ大統領が国連の官僚的で時間のかかる手続きを待っていられるとは思えません。アメリカが国連を無視して単独行動を起こし、韓国に戦略的爆撃機を配備したり、場合によっては局地戦に発展したりする可能性もある」(前出の防衛省関係者)

日本政府は国連を無視してアメリカにつき従うかどうかという、極めて微妙な政治的判断を迫られることになる。

「トランプの政策は4年後の再選を目指す自分自身のためにはなっても、アメリカ経済全体の利益につながらないことは明らかです。

安全保障の面でも、東アジアの平穏を担保してきた対中政策を見直すことで中国の不公正な貿易に圧力をかけるでしょう。これまでガラス細工のように積み重ねられてきた安全保障の環境をぶち壊してしまう」(前出の手嶋氏)

人気取りにかけては天才的だった大統領。しかし、彼に投票した人々が、「バカに権力を持たせてはいけない」と気付くのは遠い日の話ではないかもしれない。

「週刊現代」2017年2月11日号より