生き残るのは一社だけ!大企業同士の「大合併」時代がやってくる

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生保は3極化する

小笠原 「銀信分離」の標的といえば業界二位で安定している三菱UFJ信託銀行ですが、これを抱える三菱UFJFGは、三井住友系と違って信託部門も強いと言えます。それに限らずメガバンク3つの中では、同行が頭ひとつ抜けています。代々の頭取がシステムに強いのも評価できる。

そんな中、これは大きな話になりますが、突き詰めれば、みずほFGと三井住友FGが合併してようやく、三菱に対抗できる可能性が出てくるのではないかと思います。

中野 ところで、金融庁が大いに問題意識を持っているのは生命保険業界も同様です。昨年、生命保険の販売手数料を開示させ、手数料の高止まりに歯止めをかけましたが、これからさらに締め付けは強くなっていく。生保会社は、これまでのような高い利益率を出せなくなってきます。

鈴木 しかも、加入者のうち、高齢となった「団塊の世代」への保険金の支払いが増えると、それに耐えきれずに破綻する企業が出てくる可能性は高い。そこで吸収合併が起きていく。

小笠原 そうした中、各社の色合いはハッキリしています。二大生保として第一生命と日本生命がさらに存在感を増していく。第一生命は帰国子女を積極的に雇ったりと独自の社風を生かして海外を目指す。日本生命はとにかく国内の市場を強かに固めようとしています。

そして、その二社の間で、戦略の方向が見えない明治安田生命や、住友生命、富国生命、朝日生命などが集まり、「第三極」を形成していく。

 

中野 総合商社は不調です。資源価格の暴落で、'16年3月期の当期利益で、三井物産は834億円の赤字、三菱商事は1326億円の赤字と初めての赤字となった。

小笠原 三井物産は、'15年に社長が「32人抜き」と言われる人事で抜擢されましたが、一方で年長の役員が多く、経営のかじ取りが難しい。苦闘が続くと思います。

鈴木 そこで合併に追い込まれると言われるのが、三井物産、住友商事です。昨年春に住友商事の業績下方修正が発覚した頃から囁かれています。

中野 両社を取り巻く環境も、あたかも合併を促しているかに見えます。合併に際しての一番の障害はメインバンク同士の衝突ですが、両社ともメインバンクは三井住友銀行。また、商社は投資先のポートフォリオが重要になりますが、両社は資源系(三井)、非資源系(住友)に重きを置いており、棲み分けています。

小笠原 合併では弱みが解消される側面もある。両社は戦略の基軸が分かりづらい。国内を見ても、三菱はローソン、伊藤忠はファミリーマートと要所を押さえていますが、三井物産、住友商事には「売り」がないのです。合併でそれが変わる可能性もあると思います。

鈴木 この統合話には、「感情」の影響も大きいと思う。三井物産はかつて商社でトップだったという自負があり、伊藤忠('16年3月期の最終利益でトップ)に負けることを異常に嫌がります。住友商事は丸紅に負けたくない。両社が合併すれば、各々のプライドも満足させることができるのです。

トヨタ、ホンダとグーグル

中野 自動車業界はどうでしょうか。

鈴木 カーシェアと自動運転が普及して自動車の販売数が一気に減る中で、フォルクスワーゲン、メルセデス、日産などグローバルな再編が行われていくでしょう。

中野 ホンダは技術力があり、グーグルと接近もしていますが、現在は売り上げが芳しくなく、販売台数は500万台の水準。1000万台なければ生き残れないと言われる中、苦境に立たされています。今後数年のうちに、海外の企業から「買いたい」と言われるリスクは十分にある。

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