銀行・生保・商社・自動車…これから始まる一流企業「大合併」

人口減少社会で生き残るために
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続けて見れば、典型的な内需企業の百貨店業界も昨年、36年ぶりに売上高が6兆円を割り込み、市場縮小が止まらない。

「そもそも、百貨店のビジネスモデルというのは、場所を貸して、売り上げの15~20%をもらう場所貸し業です。

かつて地価が高かった時代には、そのマージンを払ってでも百貨店のある一等地に店を出したい店は多かったが、いまは地価も下がっているので、わざわざ百貨店に頭を下げなくても自力で銀座の一等地に出店できるようになった。だから、売上減が止まらない」(流通アナリストでプリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之氏)

「高島屋三越伊勢丹会社」へ

モノが売れない時代にあってはその傾向に拍車がかかっており、ここからは業界再編が必至。ファッションジャーナリストの南充浩氏も言う。

「昨年、三越伊勢丹HDの大西洋社長に何度かインタビューしましたが、『百貨店はいまのままでは生き残れない』と率直に語っていました。同社が外食、ブライダルなど他業種との提携策を矢継ぎ早に打っているのも、生き残りのために必死だからです。

昨年には、経営不振のそごう・西武が、阪急阪神百貨店などを運営するエイチ・ツー・オーリテイリングに一部店舗を売却しましたが、ここからはさらなる店舗売却や再編が起こっていくでしょう。

その中心になるのは、高島屋。売上高ベスト10の中に、日本橋、横浜、JR名古屋、大阪の4店舗を持つなど、高島屋は全国に強い店舗を持つ唯一無二の百貨店です。

伊勢丹ならば新宿本店、阪急もうめだ本店は強いけれど、それ以外の店舗は厳しい。伊勢丹や阪急に限らず、各百貨店の中小型の地方店などは今後も縮小、閉店、切り売りされていくでしょう」

その流れが加速すれば、気づいた時には、高島屋が三越伊勢丹の新宿本店以外をすべて手中にして、統合せずとも実質的に「高島屋三越伊勢丹会社」になっている――そんな未来図もあり得るわけだ。

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意外なところでは、テレビ業界でも再編気運が高まっている。「フジ・メディアHDがWOWOWに触手を伸ばしています」と指摘するのは、元日本総研メディア研究センター所長でメディアコンサルタントの西正氏だ。

「ほとんど報じられていませんが、昨年12月に注目すべき動きがありました。フジ・メディアHDが約43億円を投入し、WOWOWの株式を追加取得したのです。これでフジの株式保有比率は20%を超えた。

実は、フジは伊藤忠と合同で出資している伊藤忠・フジ・パートナーズ名義で、スカパーJSAT HDの株式も20%以上保有しており、同社の筆頭株主。民放テレビ事業ではCMなどの広告収入が伸びない中、フジが安定収入の望める有料放送に手を出そうという狙いが透けて見える。

一から有料放送をやろうにも一朝一夕にはできないので、一気にWOWOWかスカパーを買収し、自社のプラットフォームに加える動きに出てもおかしくはない」

 

現在、法律上は一つの認定放送持株会社が複数のキー局を持つことはできない。

だが、「かつてラジオ事業者が経営難に陥り、一事業者が複数局持てるように規制が緩和されたように、将来的にテレビ局の経営が傾いた時、テレビ局と総務省の議論の中で規制が変更される可能性はある」(元NHK放送文化研究所主任研究員で次世代メディア研究所代表の鈴木祐司氏)。

「テレビ不振」の時代にあっては、民放キー局同士の統合も絵空事とは言えなくなってきた。日本テレビ放送網幹部が言う。

「いま言われているのは、日本のテレビ界の『フランス化』です。日本のテレビ局は電波を飛ばすハード・設備部門と、番組を作るソフト部門が一体化しているが、それでは経営が高コスト体質になるので、フランスでは分離している。

経営難化している日本のテレビ局も早晩、分離型に移行すると見られており、そうなると規制も緩和されて新規参入組が急増する。

もちろん、既存民放局を買収することで手っ取り早く新規参入しようという業者も出てくる。そうした中で、アニメ制作会社を買収するなどソフト力の向上に余念がない日本テレビHDが、弱体化しているフジを救済する形で吸収するか、あるいは、ともに弱体化したところを異業種に買収されて統合されるか……。

そんなシナリオも『想定範囲内』になってきた。当然、テレビ広告費の激減を受けて、電通と博報堂も統合しないと生き残れなくなるでしょう」

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