2017.02.07
# 企業・経営

銀行・生保・商社・自動車…これから始まる一流企業「大合併」

人口減少社会で生き残るために
週刊現代 プロフィール

「三井住友は業界トップに立つために、①信託強化、②海外の地銀買収、③証券業務の強化の3つの選択肢を考えてきた。ただし、①については三井住友トラストとの統合が一番だが、みずほに先手を取られた。②も、現在海外にいい出物がないのが実情。

そこで浮上してくるのが③であり、かつて提携しながら関係解消に至った大和との復縁話が急浮上してきた。

実は、これは大和証券にも渡りに船の面がある。リーマン・ショック後の証券業界では、いざという時のキャッシュを確保するため、『銀行がついている』というのが重要になっている。

大和ネクスト銀行を作ったのもその一環だが、なにぶん大和証券には銀行運営のノウハウがない。それが三井住友と一緒になれば、問題がクリアできる」

大和はりそなHDと手を結ぶとも噂されていたが、大和が三井住友と一緒になる場合、野村HDがりそなを狙いにかかるとの話も浮上。

つまり、金融業界では銀行、証券の垣根を越えて再編の主導権を誰が握るかの駆け引きが激しくなってきたわけだが、そうした中で出てきたのが、みずほ銀行と三井住友銀行の「メガ合併」という驚愕の統合シナリオなのである。前出・幹部は言う。

「三井住友トラストはいま、自分たちの価値をわかった上で、みずほと三井住友を天秤にかけて、両社を揺さぶろうとしている。大和証券にしても、三井住友に吸収合併される形は嫌なので、強気の交渉に出てくるのは濃厚。

そうした面倒な交渉で時間をロスするくらいなら、いっそのことみずほと三井住友のメガ同士で対等合併するほうが話は早いという意見が出てきた。

荒唐無稽に聞こえるかもしれませんが、予兆もある。三井住友は今年4月の組織改定で、みずほとほぼ同じ組織体制に大幅に作りかえる。これは将来のメガ合併に向けた布石ではないか、と」

キリンとコカが火をつけた

胎動し始めた大再編劇――。実は金融業界に限らず、こうした巨大企業の合併・統合話がいま、さまざまな業界で浮上しつつある。

理由は明確で、急激に進む日本の人口減少社会化だ。国内市場のパイは縮むばかりで、市場を喰い合う企業の生存競争が熾烈になっている。敗れて会社が倒れれば、社員とその家族を路頭に迷わせる。

なにがなんでも生き残るためには、ライバルとでも手を結ぶべきでは……。そんな会社の未来を決する判断に、頭を悩ませている経営者が急増しているのである。

 

たとえば、飲料業界。業界トップのコカ・コーラグループと、業界5位のキリンビバレッジを擁するキリンHDの提携話が突如わいて起こり、業界再編気運が急激に高まっている。

「国内清涼飲料マーケットは乱立するメーカーによる過当競争が年々激しくなり、年間1000万ケースを超えるヒット商品も出なくなってきた。キリンHDの磯崎功典社長も『利益率が低すぎる』と嘆いていた中で、昨年から一気にコカ側と話し合いがまとまり、提携話へと進展している。

当初は運送の共同化などに取り組む予定だが、そこから資本業務提携へ発展する可能性も高まっている。さらに、磯崎社長は飲料事業をコカ側に売却する可能性まで示唆している。ここへきて、一気に業界再編に発展しかねない」(ビジネスリサーチ・ジャパン代表の鎌田正文氏)

飲料業界ではここ数年、サッポロHDがポッカコーポレーションを、アサヒグループHDがカルピスを買収するなど、大が小を呑み込む再編は起きていたが、ここからは大企業同士の統合話が急伸していく公算大だ。飲料総研取締役の宮下和浩氏も言う。

「いま一番困っているのはサントリーHD。業界2位のサントリー食品インターナショナルは『打倒コカ』で業界トップを目指して、JTの自販機事業を約1500億円で買収するなど攻勢を仕掛けていたのに、コカとキリンが統合すれば差がさらに開いてしまう。

しかも、気になるのは業界3位以下のアサヒグループHDや伊藤園の動き。キリン、コカに対抗すべく、大塚HDやダイドードリンコを巻き込んだ新しい『第三極』を形成する可能性が出てきた」

そうなれば、サントリーも「単独」で生き残るのは厳しくなるが、キリンとはかつて破談になった経緯があり、よりが戻る可能性は低い。一方、アサヒが相手であれば、海外展開に積極的な点など戦略は合うし、今後の酒税改正が逆風になるサントリーと追い風になるアサヒは補完し合える。

すでに海外ではビール1位のアンハイザー・ブッシュ・インベブが2位のSABミラーを統合しており、「日本でもアサヒ-サントリーの巨大連合が誕生する可能性が高まってきた」と業界関係者たちは口を揃えるようになってきているのだ。

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