このご時世に「政府」はいつまで古いOSのままなのか?

絵空事ではない〈未来政府〉のかたち
池田 純一 プロフィール

この分野は今、大変ホットであることから、類書が多数出ているのだが、なかでもアルン・スンドララジャンの『シェアリング・エコノミー』は、理論と実践、アカデミックと実用のバランスが取れた良書といえる。

端的にいって、シェアリングサービスとは、未来政府を進める際の一つの鍵である。なぜなら、シェアとは、本質的に、都市の随所に眠る遊休資産の活用にあるからだ。すでに都市に存在する資産の効率的で最適な利用方法を、居住者の自発的な参加を通じて実現するところが要である。

そのようなシェアリングサービスは、都市政府の内外で、たとえば渋滞を解消し、エネルギー利用率を上げ、就業機会を新たに見出すことに資するものと捉えられている。イノベーションやアントレプレナーシップが、直接的にも間接的にも、都市の公的な生活環境の向上につながると考えられている。だからこそ、都市政府はイノベーションを奨励すべきだという主張も自然と生じてくるわけだ。

もともとシェアという言葉は、見知った中で融通をつけ合ってあるものを利用し合う、というところに本質があったのだが、ITの普及によって、共同利用は必ずしも見知った中である必要はなくなってきた。むしろ、シェアを通じて新しく人と知り合うという方向に見方が逆転してきているようでもある。

もちろん、人間は必ずしも善人ばかりではないのだから、無邪気にこうした可能性に期待するべきではないのだろう。だが、人びとの「評判」という要素が加味されることで安心して利用できるようになることは、すでに多くの人が、様々な「オススメ」サイトやアプリを通じて経験していることだろう。

ともあれ、シェアリング・エコノミーは、こうして経済的側面だけでなく、公共的側面、その意味で政府的側面も帯びるようになり、実感として、プラットフォームとしての政府の理解を推し進めることになる。そうした経験の人びとの間での蓄積が、ニューサムの考える「未来政府」の実現に一定のリアリティを与えることにつながる。

このように考えてくると、2018年のカリフォルニア州知事選にも、少しは興味が湧いてくるのではないだろうか。

そして、ニューサムがITの未来を携えていると知れば知るほど、むしろ、本当にティールが参戦したらどうなるのだろう? という期待も高まることになる。ニューサムとティールとの間で、ITに支援された未来政府のあり方が議論されたらどうなるのだろう、などと想像できてしまうからだ。

かつてカリフォルニアは未来のアメリカを占う場所と言われていた。だがこの10年ほどの間は、そのような先進的イメージも、経済成長の著しいテキサスに奪われた感があった。

しかし、もしかしたら2018年には再び「アメリカの未来」を描く場として、カリフォルニアがかつてのような脚光を浴びることになるのかもしれない。

関連記事

おすすめの記事