”賞味期限”が女を不機嫌にする

女の格差社会を生き抜く
夏目 かをる プロフィール

私は様々な女性の生態を表す「○○女子」という言葉に込められる女性の意識を、面白いなあと思っていた。自分を「女子」と名乗ることで得られる若さや幼さに、安心する女性がいるのも、いいではないか。「○○女子」というのは単なる通過点だと捉えると、緩やかに成熟していくまでの過程に、「女子」がいてもよいのだ。

ところが、そんな気楽さと裏腹に、女性達の慢性的な「不機嫌」は、終息に向かうどころか、ますます拡散していくように見える。それに気づいたのは、あるアラサー女性のこんな訴えがきっかけだった。

 

婚活にそびえる「33歳の壁」

「33歳の自営業です。仕事は厳しいけど、やっと実績が認められるようになり、やりがいも感じています」

はきはきと話す彼女の表情が、次の瞬間に、みるみる曇っていく。「仕事を続けながら、結婚もしたいです。でも“33歳の壁”があって。焦りますね」。

“33歳の壁”とは何か。それは35歳で女性が高齢出産の時期に突入するため、婚活市場では、子どもを望む男性が求める女性のひとつの区切りとなる年齢なのだという。

「33歳まで結婚して、ぎりぎり妊娠して34歳ちょっと。35歳前に出産してくれる女性が婚活市場では求められるというのが、現実です」

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2012年に放送されたNHKのクローズアップ現代『産みたいのに産めない~卵子老化の衝撃~』によると、35歳の不妊治療した人で子どもが生まれた割合16.8%、40歳では8.1%と報道している。

子どもを心から望む男性ならば、自分の子どもを産んでくれる可能性の高い女性を選ぶのは理にかなっているが、それだけが女性の価値と判断する男性や婚活市場の在り方には疑問だ。“33歳の壁”に悩む女性たちに、心がちくちく痛くなってしまう。

そもそも結婚とは年齢で決めるのではなく、人柄や個性を重視するものではないだろうか。互いに愛情を持ち真柄夫婦として生きていくことを考慮して、結婚の条件に「価値観の一致」と挙げる人も多い。

また周囲を見渡すと、長い間一緒に暮らすために「飽きない人」を探している人も多くいる。37歳の女友達の5歳年下の男性のプロポーズの言葉は「面白い女性だから、結婚してくれ」だった。彼女のユニークさが好ましいという男性の着眼は、夫婦関係のマンネリ化防止にもつながるだろう。

35歳という年齢だけでその射程範囲から外されてしまうのは、実に腹立たしい。「女性は生む機械」と発言し女性蔑視と批判された政治家がいたように、実は婚活市場ではそれがもっとも主流な考え方なのではないかとさえ疑ってしまう女性も多いだろう。

35歳を過ぎれば自分はもう女として見られない、純粋にパートナーを探したいのに、年齢という壁が幸せ願望を遮ってしまう。そんな「女性の賞味期限」にまつわる余裕のなさや焦りや不安が不機嫌となって現れているのではないだろうか。

もちろん“33歳の壁”に象徴される「35歳から高年齢出産の時期に突入」の現実を自分自身で客観的に捉えると、ため息の一つでもつきたくなるのもわかる。若い女性だけがもてはやされる傾向が強いなか、年齢や老いに対する恐怖は次第に虚無感へと変容していってしまう。

虚しい自分を解放してあげるために、「女の賞味期限」をおおげさに憂いることなく、成熟していく女として楽しむには、どうしたらいいのだろう。