有名企業を退職した男たちが陥る「家庭内管理職」という病

オレが一番偉い、文句あるなら出て行け
週刊現代 プロフィール

買い物の領収書をチェック

前出の女性の父親は、名門私立大学卒で学生時代はサッカー部に所属。持ち前の体力と根性、朗らかさと酒の強さで出世を遂げた、典型的な体育会系商社マンである。上下関係に敏感なのも当然のことだろう。

「家庭内管理職」には、他にもいくつかのタイプがある。鷲田氏が言う通り、会社でのその人のキャラクターが、定年後もなかなか抜けないからだ。

まず多いのは「神経質な上司」タイプ。神奈川県に住む50代女性の夫は、日本を代表する航空会社で花形部署の本部長を務めたあと、2年前に定年を迎えた。

 

「現役のころはそれほど気にならなかったのですが、どうやらうちの夫はものすごく神経質なようで……。

私が掃除をしたあと、自分は全然手伝わないくせに、『ほら、サッシの溝がまだ汚れてる』『電灯のカバーにホコリが』『シャンプーが切れてるぞ、気付いてるなら詰め替えろ』といちいち文句を付けてくる。

これを会社でもやっていたとしたら、相当な嫌われ者だったことでしょう」

Photo by iStock

長年の会社生活で板についた、「重箱の隅をつつく」能力。仕事では役に立つこともあっただろうが、退職後は、その矛先が部下ではなく家族に向かってしまう。

「そんなに気になるなら自分でやればいいんです。でも、全部私に指示してやらせる。毎日の買い物も、自分は行かないのに、買ってきたものとレシートを突き合わせて点検します。

ちょっとでも高いものがあったら、『この値段で養殖の鮭? バカだな、お前はダマされてる』『電気毛布なんて必要なのか。ストーブがあるだろ、返品してきなさい』と言い出す。経理の部署には一度もいなかったはずなんですが……。もうこりごりです」

この女性は思い詰め、「最近、夫との別居も頭をよぎる」と漏らした。男は自覚がないまま「家庭内管理職」になってしまうわけだが、それが取り返しのつかない事態につながることもある。