自閉症を生きる当事者の、誰にも理解してもらえない「孤独と痛み」

彼女の苦しみは他人事じゃない
中村 うさぎ

「他人事」では片付けられない

読んでいて、身体が切り刻まれるような痛みを覚えた。

「わかる!」と思ったのだ。

私はアスペルガーではないけど、この孤独と痛みはわかる。誰かに理解して欲しい、愛して欲しい、受け容れて欲しいと、どんなに願ったことだろう。

私は世界とも他者とも接続してない、壊れたコンピュータみたいだ。みんなは「何か」を共有してるのに、私にはそれができず、誰にもアクセスできないまま、切り離されて錆びていく。

言葉は溢れているのに誰にも届かず、心は永遠にすれ違い続け、他者が恐ろしいモンスターに見えてくる。

いや、本当は自分がモンスターなのかもしれない。

他者は自分の鏡だもの。

Photo by iStock

心良さんの痛みと私の痛みはまた違うのだろうが、どこかで重なっている気がした。アスペルガーは、人間誰もが抱える孤独とディスコミュニケーションの痛みを、誰よりも突出させた形で体現している病なのかもしれない。

みぞおちにズシンと拳を食らったような想いで夢中で読んだ。

途中で涙が止まらなくなった。

 

ここに書かれている彼女の苦しみは、他人事ではない。「障碍者の苦しみ」で片付けられないほど、私たちの心に肉迫してくる。

私たちはこんなにもこんなにも他者を求めてしまうのに、絶対に他者とは繋がれないんだ。

その吹きすさぶ孤独の中を、身を縮めて歩き続け、誰かのドアをノックし続ける。凍えた指で、何度も何度も。

心良さんの傷を辿りながら、私たちはそこにいくつも自分と同じ傷跡を見る。『COCORA』は、そういう自伝エッセイだ。

興味があったら、ぜひお読みください。

(*本記事は、メルマガ『中村うさぎの死ぬまでに伝えたい話』より、中村うさぎさんのご厚意により転載させていただきました)

中村 うさぎ
1958年、福岡県生まれ。同志社大学卒業。OLやコピーライターなどを経て小説家デビュー。『あとは死ぬだけ』(太田出版)、『他者という病』(新潮社)など著書多数