日本人はなぜ「カレー」が大好きなのか? 一度は行きたい名店10選

「ニッポンの国民食」の謎に迫る
週刊現代 プロフィール

片桐 これは本当にお世辞ではなくて、家族みんなでよく行くんです。般°若のカレーってパクチーをのせて食べるのがおいしいんですよね。僕も妻も実は以前はパクチーが苦手だったんですけど、般°若のカレーを食べて大好きになったんです。

これもカレーの不思議だと思うんですけど、たとえば、にんじんが嫌いな子供でもカレーに入っていると食べられて、好きになったりするじゃないですか。あれはなんでかなと思うんだけど。

松尾 カレーはサブカルチャーの街・下北沢と似ていて、ある意味、何でも受け入れてくれる、心の広い食べ物なんです。それでいて、受け入れたものを活かしてくれる。

そういうところが演劇文化とも親和性があるのかもしれないね。そういえば、東銀座の歌舞伎座の近くにもカレーの名店ナイルレストランがあって、歌舞伎の役者さんにファンが多いです。

片桐 歌舞伎役者さんがカレーを食べたい気持ちは、わかる気がします。舞台の稽古で、毎日同じメンバーで同じこと繰り返していると、どうしても煮詰まってくるんですよね。そんなときカレーを食べたくなる。香辛料の力かもしれませんけど、気持ちがすっきりして、また稽古に入れるんです。

 

名店の味を生み出す「サイエンス」

片桐 ところで松尾さんは神戸出身ですけど、カレーの原体験といえば、やっぱり関西ですか。

松尾 記憶に残っている最初のカレー体験は、今はもうないんだけど、西宮北口のサンボアという店。独特の味で、最初に食べたのは中学生の頃だと思うけど、マズいと思ったのね。ところが何回か通ううち、おいしさが分かってきたわけ。その店のカレーに魅了された人たちが今でもいて、芦屋のグラスや西宮北口のインディゴといった店が、サンボアの味を再現しようとしている。

片桐 へええ。

松尾 そうやって昔の店の味を受け継ごう、再現しようという動きがよく起きるのも、カレーの特徴だと思う。スパイスの調合って、職人技というより、ちょっとサイエンスに近いからね。

片桐 関西と言えば、大阪にもけっこうカレーのお店がありますよね。北浜や福島は、神保町のようなカレーマップができるんじゃないかと思うくらい。

松尾 大阪のカレーで有名なのは何と言っても辛口のインデアンカレー。食べたときは甘いけど、だんだん舌がおかしくなる。東京にも支店が出たから、あの辛さに東京の人も挑戦できます(笑)。

片桐 本当に日本全国数えきれないくらい店があって、カレーは日本の国民食という気がします。