読書離れに「大賛成」? ミリオンセラー作家が明かす「本の力」

街の本屋さんは未知の世界への入り口
高野 和明 プロフィール

6位の『ロシア皇帝の密約』は、巻き込まれ型冒険スリラーのお手本のような作品で、あまりの面白さに読み終わるのがとにかく惜しかったです。劇中、KGBの冷酷無比なスパイが出てくるんですが、後にプーチン大統領を見た時、あまりにイメージがぴったりなんで驚きました。

自分が物書きでなければ、読書離れには大賛成だったと思うんです。周りが本を読まなくなれば、自分が上に行くチャンスが大きくなる。読書というのは、それほど圧倒的な素養になります。

月面に立った人間が何を感じたかなんて、立花さんの本に出会わなければ一生わからなかったわけですから。街の本屋さんは、未知の世界への入口です。

(構成/大西展子)

 

▼最近の一冊

「自分が映画作りを師事した岡本喜八は映画史に名を残した大監督ですが、エッセイストとしても超一流。本書には戦争真っ只中で過ごした青春期の出来事をはじめ、映画製作の裏話などが、軽妙なタッチで描かれています」

高野和明さんのベスト10冊

第1位『魔術はささやく
宮部みゆき著 新潮文庫 710円
仕組まれた3つの死。さらに魔の手は4人目に……。逮捕されたタクシー運転手の甥・守が事件の真相に迫っていく

第2位『富豪刑事
筒井康隆著 新潮文庫 490円
「富豪刑事」こと神戸大助が、迷宮入り寸前の密室殺人事件や誘拐事件を金を湯水のように使って次々と解決してゆく

第3位『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない
桜庭一樹著 角川文庫 480円
中学生のなぎさが親しくなった転校生・海野藻屑は、嘘つきで残酷で、どこか魅力的。切実な痛みに満ちた青春文学

第4位『宇宙からの帰還
立花隆著 中公文庫 800円
宇宙飛行士の衝撃に満ちた内的体験を卓越したインタビューによって鮮やかに描く

第5位『エクソシスト
ウィリアム・ピーター・ブラッティ著 宇野利泰訳 創元推理文庫 1200円
女優クリスの娘リーガンを突如襲う異変。事態は「悪魔憑き」の様相を見せ始めて……

第6位『ロシア皇帝の密約
ジェフリー・アーチャー著 永井淳訳 新潮文庫 入手は古書のみ
父から「皇帝のイコン」と呼ばれる名画を遺されたスコットを待ち受けていたのは?

第7位『シャーロック・ホームズ・シリーズ』全7巻
アーサー・コナン・ドイル著 講談社文庫 入手は古書のみ
「どの作品も面白いですが、特に『ボヘミアの醜聞』とか『唇のねじれた男』が好み」

第8位『生きる-黒沢明の世界
都築政昭著 マルジュ社 入手は古書のみ
「黒澤明の研究書はたくさんありますが、都築さんの一連の著作が群を抜いて凄いです」

第9位『定本 映画術
A・ヒッチコック F・トリュフォー著 山田宏一・蓮實重彦訳 晶文社 4000円
A・ヒッチコックへのインタビューで成り立つ。「作り手にとって有用な知恵が満載」

第10位『マスターズオブライト-アメリカンシネマの撮影監督たち
デニス・シェファー ラリー・サルヴァート著 高間賢治訳 フィルムアート社 2400円「超一流の映画撮影者たちが、ストーリーテリングの真髄を語り尽くした名著です」

週刊現代』2017年2月11日号より