W杯出場枠32→48へ! 拡大による「恩恵」と「弊害」

日本にとっては躍進のチャンスだ
二宮 寿朗

スケジューリングにおける問題点

2026年大会のW杯新方式は3チーム1組で、16グループによるリーグ戦を行う。各組上位2チームが32チームによるノックアウト方式の決勝トーナメントに進む。

3チーム1組のグループリーグは言うまでもなくナンセンスだ。

1チームは必ず試合のない日が生まれる。第1、2、3節のどこに組まれるかで有利、不利が出てきてしまう。第1、2節がドローなら3節で戦う2チームは展開次第ではあるものの、点の奪い合いに走ることも想定できる。先の2試合より多く点を取ってドローになっても得点差で決勝トーナメントに行けるためだ。

ここは少なくとも有利、不利が働かないような設定が求められる。

続いて32チームよるノックアウト方式。決勝トーナメントにおける1チームの最大試合数は、これまでより1試合増えるだけである。とはいえ1回戦から延長戦が採用され、90分で決着をつけられない試合が続くと疲弊するチームも出てくるはず。アップセットは起きやすくなるだろう。

FIFAでは16チームをシード(ランキング上位を想定)にしてほかの32チームでプレーオフ(1試合)を戦う案も検討されたと聞く。シードとプレーオフ勝者の計32チームでこれまで同様、グループリーグ3試合と最大4試合の決勝トーナメントとなる案だ。

最大勢力の欧州なら、この案に賛成するに違いなかった。強豪国はシードとして扱われ、枠拡大の恩恵を受けたであろうチームも32枠に入れる可能性が少なくとも他大陸よりはあると思う。シードから漏れたアジア勢がプレーオフで全滅してしまう可能性もないとは言い切れない。

しかしこの案は採用されなかった。

つまり「上」からの目線ではなく、政治、商業、世界全体の盛り上がりなどを考慮して「下」からの目線にウエイトを置いたのだ。

 

大会全体の試合数こそ増えるが、日程はブラジルW杯と変わらず、1チームの最大試合数7も同じ。3チーム1組のグループリーグが、たとえいびつであろうとも、全体の理解を得るにはこの案しかなかったのだろう。

様々な背景は別として48チームによるW杯は、それぞれの立場によって見え方や評価が変わってくるのは当然だ。

日本から見れば、これまで以上に躍進のチャンスが出てくる大会になる。グループリーグは確率だけで言えば4分の2から3分の2と決勝トーナメントに進める可能性が高まるのだから。出場枠の拡大によってアジア最終予選の負担が多少なりとも軽減でき、対世界を意識したチームづくりに時間を割くこともできる。

極論を言えばサッカー後進国のレベルを引き上げ、世界的にサッカー人口が増えていけばサッカー界全体の利益となるし、いずれレベル自体も上がってくると信じたい。

中国や東南アジアなど、サッカー熱があらゆるところで高まってきている昨今。無論、大会方式に修正は必要ながら、「48チーム」は時代の要請であるようにも思えてくる。