マンガに出てくるロボットが必ず背負わされてしまう「ある宿命」

異色のロボット「開発」マンガを読む
森山 和道 プロフィール

人間にとってロボットとは?

あらすじをご紹介する。

ロボットベンチャー・西真工業の西村真琴(マコト)は二足歩行ロボット「ロビンソン」を開発している。一人だ。

かつては仲間たちと一緒に開発を行っていたらしい。だが、仲間たちは去っていったようだ。しかも資金も尽き、最後の仲間からも引導を渡されて、マコトは開発中のロボットともどもホームレスになってしまう。

だがロボットの展示会で「ロビンソン」の性能を見せつけることで、ファンドからの出資を取り付けたマコトは、再び新たな仲間たちを集めて、「ロビンソン」開発に猪突猛進していく。「アイアンバディ」は、おおざっぱにいうとこんな話だ。

マコトは展示会場でバットで殴っても倒れない「ロビンソン」の性能を見せつける

タイトル「アイアンバディ」は「鉄の肉体」という意味ではない。

「鉄のように強固な相棒」という意味だ。ダブルミーニングもあるのかもしれない。ともかく主人公のマコトは、後者を目指してロボット開発を行っている。彼の夢は、自分が開発したロボットを「バディ」として、一緒にエベレストに登頂することだ。マコトはロボットのこと以外何も考えていない。

ロボットともにエベレストを登るのが夢だ

いっぽう、マコトから離れて行ったかつての仲間の一人・椎野は大手ロボット会社で、自らが正しいと考えた別の道を歩みながら、ロボット開発に挑んでいる。椎野は椎野で、ロボット技術の可能性を信じている。マコトとは歩み方が違うだけなのだ。

マコトとは違う道を歩む三帝ロボティクス社の椎野

実は「アイアンバディ」のもう一組の「バディ」は、対となっている主人公マコトと椎野なのだ。ただし、対になっていることは誰が読んでもわかると思うが、そちらの関係はまだきちんと描かれていない。

いや、マコトと「ロビンソン」とのあいだのバディ関係も、まだ描き出されていない。両者は未だ、「バディ」にはなっていない。

マコトは作中で、「ロビンソンは単なる道具ではない」と語っている。

本来のバディは向き合う関係であると同時に、横に並び立って眼差しを共有し、同じ風景を見る関係でもある。

ロビンソンとマコト、あるいはマコトと椎野はそのような関係になれるのか。そこまでこの漫画はたどり着くことができるのか。まだわからない。

なおロボットで西村真琴というと、ただちに「學天則(東洋で初めてのロボット)」を連想した方もいるだろう。その意味が本作にどこまで込められるのか、それもわからない。

「アイアンバディ」第2巻より

設定・取材協力者の「不満」

いま、単行本は2巻まで刊行されたところだ。連載開始当初はロボット開発のアレコレをヒューマノイド(人間型ロボット)を主題として真正面から扱っていくのかと思われたが、最近の展開は少年漫画的になってきていて、現実のロボット開発からは、少しズレてきている。

現実のロボット技術はまだまだ発展途上だ。実現できている技術の範囲では、漫画として見栄えのするダイナミックな動きを見せることは、なかなか難しい。

ストーリー展開も早くなり、バタバタと話が進んでいる。技術開発や理屈の面白さを見せてくれないのは個人的には残念に思っている。

いや、率直に言おう。個人的には、いまの「アイアンバディ」には不満がある。