# 文学

『この世界の片隅に』の監督が選ぶ「時の流れ」を感じる10の小説

映画製作中に読んでいた作品は?
片渕 須直

片渕須直さんのベスト10冊

第1位『ブラックアウト』上・下
コニー・ウィリス著 大森望訳 ハヤカワ文庫 各960円
「題名は灯火管制という意味。続編の『オール・クリア』(空襲警報解除)と併せ、近年で最も影響を受けた本」

第2位『愛に時間を』全3巻
ロバート・A・ハインライン著 矢野徹訳 ハヤカワ文庫 入手は古書のみ
4000年生きた「死の他の全てを体験した男」が、まだ体験していないこととは何か。詳細な歴史が展開されるSF長編

第3位『スペース』上・下
ジェームズ・ミッチェナー著 水上峰雄訳 集英社 入手は古書のみ
「アポロ18号が墜落するなど『架空のNASAの歴史』を描く小説。創作だからこそ歴史を顧みることができる」

第4位『侍女の物語
マーガレット・アトウッド著 斎藤英治訳 ハヤカワepi文庫 1200円
右派で宗教的な政党が支配する近未来のアメリカ。抑圧された「侍女」の運命は―

第5位『悪童日記
アゴタ・クリストフ著 堀茂樹訳 ハヤカワepi文庫 660円
「三部作の一巻。続編で作品を根底から覆す見方が著者から示され、読者を惑わせる」

第6位『こわれた腕環 ゲド戦記2
アーシュラ・K・ル=グウィン著 清水真砂子訳 岩波少年文庫 680円
「こうあるべきという『魔法』から解放される女性を描く点が『アリーテ姫』に通じる」

第7位『枕草子』上・下
清少納言著 萩谷朴校注 新潮社 各3600円
「古文と現代語訳を同時に読み進められる。『マイマイ新子と千年の魔法』製作時に引いた一冊」

第8位『写真でみる日本生活図引』全9巻
須藤功編 弘文堂 各5200円
「1930年代の日常風景を写した民俗学的にも貴重な本。映画の資料として重宝した」

第9位『大呉市民史
弘中柳三編 呉日報社 入手は古書のみ
「呉の新聞を、政治から三面記事まで抜き書きした本。刊行されてない部分も読みたい」

第10位『ゴスペル』上・下
ウィルトン・バーンハート著 畔上司訳 ベネッセ 入手は古書のみ
新たな福音書を求めて翻弄される人々を描く。現代と古代を行き来しつつ進む物語

『週刊現代』2017年2月4日号より