子殺しの翌日、「鬼畜夫婦」は家族でディズニーランドへ行っていた

ルポ・足立区兎用ケージ監禁致死事件
石井 光太 プロフィール

一方、妻の朋美(逮捕時27歳)の生い立ちも悲惨だ。母のB美は中学卒業後にホステスとなり、入れあげたホストとの間に未婚のまま子供を産む。その長女が朋美だった。

その後に長男ができたことから籍を入れるが、結局一度も同居しないまま離婚。ほぼ同時に付き合っていた別の男性と再婚し、今度は3人の子供を産む。つまり朋美と長男はホストとの間にできた子供で、下の3人は再婚相手の子ということだ。

B美は絵に書いたようなモンスターマザーで、近隣住民といさかいを起こしては逃げるように引越しをした。その数は、朋美が中学を卒業するまでに実に5回。朋美は物心ついた時からずっと母親に振り回されつづけた。

また、B美は再婚後もホストクラブに通うなど性に奔放だった。中学進学以降、朋美はその影響を受けたかのように性に関するトラブルを起こす。中学では恋愛によるいざこざから不登校になり、卒業後に進学したチャレンジスクールでは体を許した先輩に「妊娠した」と嘘をついて中絶費用をだまし取ろうとして退学になる。その後は水商売の世界に入り、客との間にできた子供を未婚のまま出産。養育費として250万円を手に入れた。

第1子を産んだ後、朋美は母のB美に連れられて竹の塚のホストクラブに遊びに行く。そこで働いていたのが忍だった。2人は出会って5日後に肉体関係を結び、1ヵ月も経たないうちに赤ん坊とともに同棲をはじめた。そして、7年間で7人もの子供を出産するのである。

7人も子供がいれば、養育費はかなりの額にのぼる。だが、2人には計画性というものがまるでなかった。忍は契約の仕事を転々とするが、当然生活が成り立つわけもなく、粉ミルクを万引きして転売したり、親族から借金を重ねたりした末、生活保護に頼ることになる。子供が多い分、すべての手当を含めて月に30万以上受け取っていたと思われる。

 

ペットを飼う感覚で子供を監禁

あえて言えば、忍と朋美は夫婦とは名ばかりで、良識のない男女がホストクラブで出会い、何の計画性もなく毎年子供をつくっていただけだ。そんな2人がまともな家庭を築き、子育てができるわけがない。

事実、家庭は惨憺たる有様だった。2人は7人の子供の他に10匹を超える犬を次から次にもらってきては育てられずに死なせてしまう。ゴミがいたるところに転がり、子供たちは用の足し方を教えてもらえず、犬と同じように床に垂れ流す。髪も爪も伸びて、まともに会話することさえできない子供もいた。

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夫婦は、こうした状況をおかしいとは思っていなかったようだ。自らも親に放っておかれた経験しかないため、こうした光景が当たり前だったのだろう。だからこそ、次男と次女がイヤイヤ期の2、3歳になって調味料や食器を散らかすなどするようになった時に、それを静める方法がわからなかった。忍と朋美は話し合って、こう結論を下した。

「次男は家を散らかすからウサギ用ケージに閉じ込めておこう。次女は犬用の首輪でつないでおけばいい」

彼らはペットの養育と人間の養育の区別がつかない。それゆえ、ペットをケージに入れて飼育する感覚で、まったく悪びれずに我が子を監禁したのだ。

2人に罪悪感がなかったのは、その後の行動からもわかる。彼らは朋美の妹に当然のように

「うるさいから、しつけのためにケージに閉じ込めている」

と話しているのだ。それが当たり前のしつけだと思っていたのだろう。実際、2人は子供を監禁しながらも、堂々と「子供を愛していた」と語っている。

私があるルートで入手した彼らの家族写真や手紙には、たしかにケーキを囲んで誕生日会をしたり、お風呂に一緒に入ったりする写真があった。また、虐待する親と、虐待を受ける子を愛しむ手紙も発見された。虐待親なりの「ゆがんだ愛情」があったのだ。

自分の罪に無自覚な分だけ質が悪い。夫婦は子供を閉じ込めたらどうなるかということを一切考えていなかった。

ある晩、ウサギ用ケージに閉じ込められた次男がパニックになったように叫びはじめた。忍は「静かにさせよう」と思ってタオルを口に巻いて、そのまま寝てしまう。数時間後、次男はそれが原因で窒息死した。

夫婦は気が動転した。子供が死んだことがバレたら、「家族がバラバラになってしまう」と思った。それで夫婦で話し合い、おむつの段ボール箱に次男の遺体を入れ、「大好きだった自然」に埋めに行ったのである。車の中には長女や長男も同乗しており、埋める時は2人にも手伝ってもらったという。