「SMAP本」5冊を一気読みしたら見えてきたもの

解散の寂しさを埋めようと思ったら…
西森 路代 プロフィール

また、アメリカと、韓国、日本の芸能のシステムの違いについてもページが割かれているのも、本書の特徴だ。松谷氏が、Yahoo!個人に書いたJYJ法の記事を発端に(と思われる)、国会でも「SMAP騒動と放送法に関する質問注意書」が内閣に提出された経緯なども書かれている。

そういう意味では本書は、ほかの本よりもよりジャーナリスティックな視点から書かれた一冊といえるだろう。特に、松谷氏がYahoo!個人をはじめとするネットメディアの柔軟性に触れた点は興味深い。

SMAP解散騒動が起こった時、Yahoo!個人上では著名なブロガーやライターが自由闊達に意見を発信していた。松谷氏はこれを指して「従来のマスメディアのように憶する様子はけっして見せなかった」と綴り、スポーツ新聞やテレビが同じ情報を元に、足並みをそろえて報道したことと対比している。

松谷氏は、このインターネットメディアの「タブーを恐れない体質」には希望を感じており、既存メディアがこのままタブーに委縮しているようでは、その信頼性が確実に失われていくだろうことに警鐘を鳴らしているようにも取れた。

誰もがSMAPについて語るべきことを持っている

さて、それぞれが独自のテーマや視点からSMAPを論じており、新たな知識と十分な満足感を得たが、5冊の本を読んでもなお、私には私なりに語りたいこと、まだまだ語れることがある、と気づかされる。

例えば、1980年代のアイドルブームの衰退と、チェッカーズなどのアーティストとアイドルの中間の存在が出現し、それがどうSMAPとつながっていったのかといったこと、(松谷氏の本にも出てくるが)SMAPのアイドルとしての在り方は、韓国や台湾、香港などの東アジアではどう受け止められ発展していったのか、女性の生き方の変化に、SMAPというグループはどう寄り添っていたのかということ、SMAPの出演してきたドラマの変遷――など、まだまだ語れることがあることに驚いた。

誰でも一冊は自分の人生を小説に書ける、とよく言われるが、「SMAPについて語れ」と言われれば、誰でもかなりのことを語り得るのではないか。この5冊のうちの一冊でも読んでみれば、自身の生きてきた時代とSMAPが歩んだ時代、彼らが持っていた価値観・信念と自分のそれを照らし合わせ、SMAPについて、そして自分について語りだしたくなるに違いない。