関東とはスケールが違う!「関西の大金持ち」はこんなにおもろいで

歴史的風土が生んだエネルギー
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賞金14億円のポーカー! 

自宅は神戸市東灘区にある超高級マンションの一室だ。敷地内には居住者専用のプールやフィットネスクラブ、有名中華料理店や高級寿司店があり、広大な緑豊かな庭園もある。その他にS氏は大阪・梅田にもタワーマンションの最上階、いわゆる億ションを複数所有しているという。

そんなS氏が行き着いた究極の趣味が、ポーカーなのだとか。日本人から見ると、いささかアウトローめいているが、欧米では「頭脳のスポーツ」として位置づけられ、ゴールデンタイムにテレビ中継されるほど人気だという。

サッカーのスーパースター、ブラジルのロナウドやネイマールらもポーカープレイヤーとして活躍し、ゴルフのような人気と知名度を誇る。

S氏が続ける。

「世界最大のトーナメント、WSOPがラスベガスで毎年開催されていますが、数千人が参加して、優勝賞金は14億円です。ランキングの上位200名が、総額30億~40億円を稼いでいます。

私も先日、アジア最大級のトーナメントにエントリー費140万円を支払って参加し、結果は5位でした。賞金は、日本円で2200万円。昨年の獲得賞金は4000万円になります。

かつては乗馬やゴルフにも夢中になりましたが、今はもっぱらポーカーですね。このゲームの奥深さは企業経営にも通じるところがあると感じています」

関西の資産家の中には「中央」、つまり東京の価値観に背を向けている者も多い。京都の冷泉家25代当主の冷泉為人氏もそんな一人である。

「冷泉家は平安時代から800年も続く『和歌の家』であり、伝統文学を守り続けてきました。平安・鎌倉時代の歌聖、藤原俊成や定家らの和歌集や歴史書など、冷泉家に伝わる典籍類は国宝5件、重要文化財47件をはじめ、2万点を超えます。戦後の50年間は相続税などの問題が重くのしかかって、先代夫婦もものすごく苦労されました。

あまりにも固定資産税が莫大になってしまうため、先代は公益財団法人『冷泉家時雨亭文庫』を作り、重要な歴史資料の管理をなんとか永続していこうとしているわけです」

おカネより大切なもの

こう言う冷泉氏は、日本の戦後教育の問題について熱弁を振るう。その矛先は安倍晋三総理にも容赦なく向かう。

「今、日本では歴史や文化をないがしろにして、それ以外のところに価値を置いています。安倍さんも目先の利益のことばかり言っています。そうした発想からは何も生まれません。おカネはもちろん大事ですが、目先のおカネにとらわれては、歴史や文化を作れない。

グローバル化の進展と戦後70年の学校教育で自由と平等の価値観を大事にするようになり、反面で文化や伝統が軽視されるようになってしまった。そうしたことをわかっている日本人ははたしてどれくらいいるのでしょうか」

 

千年の都で800年続いた「誇り」を強烈に抱く冷泉氏の話は、さらに行政や税制のあり方、近年の大金持ちの話へと広がっていく。

「昔の名家は地域の発展のためにインフラを整備したり、文化を作ったりしてきた面があります。しかし、今ではそれを行政の役割としてしまいました。自由や平等ばかり主張すると、多数決で多く手が挙がったほうにおカネを使うようになっていく。

歴史や文化の大切さを理解している人は、今や1割くらいしかいないでしょう。そして多数決の結果、歴史や文化には税金は使われないようになります。

ホリエモン(堀江貴文氏)にしても村上ファンド(の村上世彰氏)にしても、法律ギリギリのところでおカネを稼ぐのは上手かったのでしょうが、その使いかたがまずかった。

国や地域のためにおカネを使うこともなければ、米国の富豪のように寄付をするわけでもない。自由と平等を教えるだけで、義務を教えてこなかった戦後教育の問題ですね。今の日本はおカネのことばかりで品格がなくなりました」

歴史的風土の中で醸成されてきたマグマのようなエネルギーが、関西にはある。関東とはちょっとスケールが違う、関西のおもろい大金持ちたちが、新しい日本の起爆剤となる――かもしれない。

「週刊現代」2016年1月28日号より