美人AV女優と呼ばれた女の絶望的な「その後」

リスカ、アル中…かける言葉が見つからない
中村 淳彦 プロフィール

「こんな体型だから、基本的にみんな嫌がるよね。でも、まあいろいろやっているよ。出会い喫茶の売春もだけど、今はお客さんをお店通さないで会うのが一番の仕事だね。20年以上も風俗とか売春やっているから、こんな体型でも持っているお客がいるの」

この半年間、この部屋に籠ってずっと酒を飲み続けている。ビールとタバコを買うお金がなくなると、出会い喫茶に行くか、客に電話をしてラブホテルの近くで待ち合わせて1万円~2万円をもらう。

部屋に引きこもるようになってからは毎日体重が増加、それに比例して精神状態もおかしくなった。リスカや突然暴れるなどの頻度が増えて、現在は「なんとか生存している」というギリギリの状態だった。

「彼氏は売春には賛成しているかな。売春しないで、部屋でカラダを切っているよりはいいって。だからカラダ売ってこい、って言われる。一人でいるとイライラして暴れるし、お金を払ってくれるってことに存在価値を感じるというか、売春するとやっぱりホッとする。

アソコしゃぶるのは嫌だけど、ホッとする。これまで風俗と売春しかしたことないから、カラダで稼げなくなったら本当にどうしていいかわからない」

 

カラダを売る仕事以外に一切の社会経験がなく、中学3年からそれだけが社会との接点だ。太って風俗店で働くことが許されなくなってからは、感情の起伏が激しくなって暴れてばかり。売春で男が買ってくれると精神的に安定し、しばらくは落ち着くという。

先日、暴れて警察を呼んだことで問題になった。来週からは精神科に措置入院となるようだ。

「浜崎あゆみの曲にも美しい花も散っていくってあるでしょ。AV女優で活躍してチヤホヤされた時代もあって、街にでればスカウトマンに散々声かけまくられたとか。今じゃ、歩いてもティッシュも渡されないよ。だからそういう時代もあってよかったよ」

彼女は重症だ。おそらく帰って来ることはないのではないか。彼氏も、いい機会とばかりに逃げるのはおそらく間違いない。ただ一つの価値だった「売れるカラダ」を失い、身寄りも、健康も、支えてくれる友達もいない彼女には、このまま医療や福祉の世話になるしか生きる術がなさそうだ。

「暇だから駅まで送るよ」

乳首が透けるタンクトップ姿のまま玄関を出て駅まで送るという。外に出てようやく異様な臭気から解放された。彼女は缶ビール片手に歩く。通行人はフラフラと歩く姿を横目で眺める。もはや、誰の目にも「普通」ではないのだ。

電車に乗った。彼女から離れたとき、私は大きく深呼吸した。壊れた空間でビールと血がしみ込んだ絨毯を踏み続けた靴下は湿っていた。