日韓合意を踏みにじる韓国の「ねじれた正義感」について

やっぱり予言が的中してしまった…
北方 農夫人

「正義」の解釈が違うのか

もともと根強い批判のあった「日韓合意」は、野党による朴大統領批判の材料にされていく。最大野党「共に民主党」の前代表で、大統領選への出馬を表明している文在寅氏が、合意の見直しを表明したのは、その象徴だろう。その他の候補者もこぞって見直しを主張し、国連事務総長として日韓合意を歓迎するメッセージを発したはずの潘基文氏も、野党候補に同調するような姿勢を見せている。

潘氏を知る日本メディアの元ソウル特派員は「そもそも何か信念のある人ではないから、世論を見据えて意見をコロコロ変える。そのせいで国連事務総長時代に目立った活動がなかったし、大統領になったとしても対日姿勢は一貫しないでしょう」と話す。

国民がこぞって「朴槿恵憎けりゃ袈裟まで憎い」といった雰囲気を作る中、結果として元慰安婦支援の「市民団体」は、自らの存在感を増すことに成功した。もし、合意が破棄されれば、団体の存続にもつながる。

そのことを挺対協に近い関係者に尋ねると「問題を長期化させているのは日本政府、そして韓国政府だ。我々は少しでも早く、この問題を終わらせたいと思っている。日本の国会が謝罪を決議し、法的責任を認めたうえで賠償金を支払えば、真の解決に向かう」と、声を荒げながら答えた。

一見、単純そうに見える方程式を解くため、どれだけの時間と努力が費やされたか。それらは、自分たちの掲げる「正義」の前では、なんの意味もないようだった。

 

こうした韓国人の「正義」に対する意識は、日本人のそれとは大きく異なる。日本による韓国併合から100年を迎えた2010年8月、菅直人首相(当時)は談話を発表し、韓国併合は「(韓国の人たちの)意に反して行われた植民地支配」として深い反省を示した。だが、この談話に不満を抱いた韓国人は少なくなかった。その理由は、談話が韓国併合自体を無効としなかったからだ。

日本政府が、日本による韓国併合を「(韓国の人たちの)意に反する行為」として深い反省を示したとしても、そのものを無効と宣言しない限り正義は実現されたと考えない。「正義」と「法」の規範の範疇が、互いに交わっているのが韓国の特徴と言える。
 
現役のベテラン韓国人記者は、その心情をこう説明する。
 
「韓国が軍事独裁政権だったころ、民主化運動を弾圧する多くの法律が作られ、たくさんの人が処罰された。その記憶から、間違った政権が作った法律は変えなくてはいけない、というのが韓国人にとっての正義ですし、それは過去にさかのぼってもなされるべきと考えます。民主化運動で投獄された人が、名誉回復を求めるのもそのためです」

韓国の軍事独裁政権時代を象徴するのが、朴槿恵大統領の父、朴正熙元大統領だ。朴槿恵大統領の不正を糾弾するという「正義」が、韓国人にとっては、民主化を求めた運動と重なり合うのかもしれない。

だが、その「正義」によって糾弾される対象に、日韓合意も含まれるとしたら、それは日韓両国にとって、関係改善の動きを一気に逆行させる不幸な出来事にほかならない。

韓国や中国とのパイプ役として知られる自民党の二階俊博幹事長は、1月6日のテレビ番組で「韓国が大事な国であることに違いないが、交渉するにはなかなか面倒な国だ」と述べた。二階氏の嘆息をよそに、韓国はより「面倒な国」になろうとしている。