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海老蔵が静かに進める歌舞伎界「再編」〜歴史の目撃者になるチャンス

これは現代の貴種流離譚だ!
中川 右介 プロフィール

「歴史の目撃者」に

このように歌舞伎座では、「世代交代」というタテの物語が進んでいる。そこでは海老蔵の出番はあまりない。しかし、歌舞伎座とは離れた場所で、もうひとつ別の「劇界再編」というヨコの変化の物語が着々と進んでいる。

それが平成末期の歌舞伎である。

70代の大幹部は総仕上げの時期に入っている。その息子たちはいよいよ主役に躍り出ようとしている。そしてさらにその息子たちが初舞台、初お目見栄をしている。三世代が同時に活躍できる時期はそう長くはない。このタイミングに生きているのは運がいい。

歴史の変化は、その時点では分からない。数年後、数十年後に、あの年のあの月の公演のあの役がターニングポイントだったと、分かるものだ。

いまの歌舞伎を見ることは、将来の「歴史の目撃者」になることでもある。

今月の歌舞伎は、新橋演舞場で右團次襲名披露興行が海老蔵と猿之助も同座してなされ、歌舞伎座には幸四郎・吉右衛門・玉三郎が出ているが、最も出演時間が長いのは染五郎だ。菊之助と松緑は国立劇場、そして浅草では松也を中心にした若い世代が奮闘している。ここに、未来がある。