楽天市場の「絶望的な使いにくさ」に隠された意図〜深読みウェブ散歩

効率だけがすべてじゃない!?
山本 貴光 プロフィール

見ていて迷子になるデザイン

こんな具合に混沌としたページだが、ちょっと離れて眺めると、サイト全体は白地に黒で、それに加えて楽天のロゴに使われている赤を中心につくられている(ツールで調べてみたところ#BF0000という色)。

各種画像にいろいろな色が使われているので色が入り乱れている感じもあるけれど、サイトのベースは意外とシンプルだ。

また、普段はあまり気にならないことだが、ページ全体にはけっこうな量の文字がある。試しに数えてみたらおよそ7500文字(2016年11月28日の観察時点)。ものにもよるけれど、文庫本10ページ分ぐらいの文字量だ。

といっても、ひとつひとつの文字の塊は「電子書籍」とか「送料無料」といった単語が多く、長くても2~3行。そういう塊が画面全体に散らばっている。

もちろん利用者は表示されている文字を端から端まで舐めるように読むわけではない。必要に応じて目を向けたり、見つけたりする。たとえるなら地名や建物が書き込まれた地図を眺めるのに近いかもしれない。

地図を眺める場合もそうだけど、多種多様な情報があちこちにちりばめられた画面は、見る側が目的を持っていないと迷子になりがちだ。

これはWordやLINEをはじめとする各種アプリケーションソフトの画面で生じることとも似ている。たくさんの選択肢が並んでいるのはよいけれど、使い慣れるまでは、どこをどうすればいいのか訳が分からずちょっとしんどい。

とはいえ、楽天は買い物サイトだけにそういう心配は少ないのだろう。買いたいものが決まっている場合もあれば、ウィンドウショッピングのように「何があるかな」とぶらつくこともあるだろうから。それこそショッピングモールに並ぶお店を気ままに見て歩く感覚かもしれない。

 

欲しい商品にたどり着けない…

では、商品を検索してみよう。なんでもいいのだけれど……たとえばiPhone7でどうかしら。というので検索フォームに入力してみる。

【手の動き】楽天のトップページにアクセスすると、最初から検索フォームに文字を入力すればよい状態になっている。そこで文字を打ち込む。――という具合に、ここではサイトを操作するために手をどう動かしたかも書いてみる。というのも、普段あまり意識していないかもしれないけれど、ウェブを見るとき、私たちはけっこう指や手を動かしている。ここでは散策にどのくらい手間がかかっているかを実感してみたいという次第。

画面が切り替わって検索結果があらわれた。画面全体のレイアウトも変わる。

検索結果が多すぎる… 「楽天市場」より

一番上に検索関連の要素があるのは、さきほどのトップページと同様。その下に広告バナーを挟んで今度は2コラム。向かって左が検索条件を絞り込むための場所。右には検索結果がずらりと並ぶ。ページの用途に応じてデザインも変わるわけだ。

肝心の検索結果はというと……802,921件! そんなにあるの!?

一度に表示されるのは45件だから、ざっと1万7千ページ分くらい商品が並ぶ計算。カタログを眺めるのが好きな人には天国かもしれない。でも特定の商品を探したい人にはちょっと多すぎるかも。いや、贅沢な悩みだけれども。

さらに詳しく見る前に絞り込もう。さすがにiPhone7の本体なら、もうちょっと少ないのではないか。検索条件に「本体」を加えて再検索。

【手の動き】再び検索フォームをクリックして「本体」と入力。
半分にもならない… 「楽天市場」より

結果は……486,941件。半分にもなっていないじゃないか。ぬーん。

しかも検索結果の最初に表示されているものこそ本体だが、大半はケースやセルカ棒などの周辺機器だ。あ、そうか。iPhone本体ではない商品も説明文に「本体」という言葉が入っているわけね。検索にひっかかるように。

みなさんの営業努力はともかくとして、もっとこう、本当の本体に絞り込みたい。と、そのつもりでページを見れば……(しばらくページのあちこちを目がさまよう)……検索条件に「スマートフォン本体」という項目が見える。

これだ、これに違いない。ポチっとな。

【手の動き】画面左の「スマートフォン本体」までカーソルを移動してクリック。
桁は確かに減ったけど… 「楽天市場」より

ほらね。ようやく157件になった。さっきまでと桁が3つ違うから、とっても少なく感じる。

検索結果を見てみよう。

なんの順に並んでいるのか、ぱっと見ではよく分からない。並び替えの項目には「標準」とあるけれど。

一つひとつの商品の表示は、サムネイル画像、タイトルの文字が2行、少し小さいフォントで補足説明とショップ名、右側に赤字でひときわ目立つのが価格と「送料無料」の文字。

文字要素のなかでは価格の数字が一番大きい。同じ商品が複数あったら、最後の決め手は安さだろうから当然といえば当然の表示だ。配送予定とその他の説明も添えてある。

どういう順番なのだろう 「楽天市場」より

ふむ、とりあえずリスト全体を見ておこう。45件を全部見るのにおよそ10画面分。電器量販店の店先と同じで、こちらが細かいスペックの違いを知らないと、全部同じに見える。サムネイルも似たり寄ったりなので、区別する手がかりにはなりにくい。そこで目が行くのはやっぱり価格だろうか。

【手の動き】ひたすら画面を下にスクロール。

ものは試し、画面左の検索条件から、さらに条件を絞って「新品」を選んでみよう。

【手の動き】画面上部まで戻って、「新品」の項目までカーソルを動かしてクリック。

おお、結果は1件!

と思って見たら、そもそもiPhone7ではない。ASUS ZenFone 3 Deluxeやないか……。商品の説明ページを見てみたら、説明文に「iPhoneと見紛うような」とか書いてある。ほんとに紛らわしい。

みんな検索結果に引っかけるのに必死なのね。でもiPhoneが欲しい人はいくらなんでも買わないよね、きっと。

気を取り直して「未使用品」を探してみる。あったあった。クリックしてみよう。

【手の動き】検索結果のうち「未使用品」の商品にカーソルを動かしてクリック。