余命3ヵ月、全身多発転移から、治したお医者さんと治った患者さんの「がんと闘う対談」、『このまま死んでる場合じゃない!』が話題となっている。
治らない理由がわかれば、治る理由がわかる。希望は常識の向こうにアリ! 本書の中から、冒頭部分を特別公開します。
医師:岡田直美さん(放射線医学総合研究所病院医長、腫瘍内科医)
患者:善本考香さん(女性がん患者中心の患者会NPO法人「SmileGirls」代表。1971年生まれ。2011年、子宮頸がんがみつかり、がんとの闘いがはじまる)
余命3ヵ月宣告を受けてから3年
善本 今日は、私たちが日頃話しているがん治療の理想像を皆様にもご紹介したいということで、このような場を設けていただいたんですけど、その理想というのは?
岡田 闘うがん治療です。治るため、治すために闘うがん治療です。がんが再発したり、転移したりすると、医師から「もう、治りません」と言われます。これが今のがん治療の限界です。
善本 私の場合、あとから地元の主治医に聞いたら、「3ヵ月もてばいいと思った」と言っていました。
でも、余命3ヵ月の状態から3年半経たった今もぴんぴんしています。がんという病気は、一昔前だったら、かかったらもう治らない病気。最近は早期発見、早期治療できる人も増えて、治る病気になってきたと言われていますが、それでも再発・転移したら助からない病気。
このような考え方が一般的ですが、岡田先生に言わせると?
岡田 あきらめることはありません。再発しても、あちらこちらに転移しても、治る可能性は十分にあります。それこそ、善本さんは、まさに身をもってこのことを体験していますからね。
善本 今のがん治療を考えると、再発・転移しても治るなんて「信じられない」「ウソだろう」と思う人もいるかもしれません。
私は再発を繰り返して、首の付け根から骨盤まで全身あちらこちらに転移がありました。バリバリのステージⅣ(全身多発転移)です。
それでも、治りました。最後の治療が終わってから3年になりますが、がんはいまだに出ていません。
岡田 私はこれまで「治らない」と言われてしまった、さまざまな種類のがん患者さんを治してきました。
その中には、肺に18ヵ所も転移していた大腸がんや、腹膜播種、つまりお腹の腹膜にまで転移してしまった胃がん・大腸がん、同様に胸膜播種の肺がん、進行した膵臓がんなど、重度の患者さんも多く含まれます。
でも、善本さんは、その中でももっとも困難な患者さんでした。
善本 私だけでなく、先生がこれまで治してきた患者さんのなかには、権威ある病院で「治らない」って宣告された患者さんもたくさんいらっしゃいますよね?
いったいどうして先生は、治すことができるのでしょうか?
岡田 最初からずばりと聞いてきますね。でも、これは、この本のテーマでもありますから、ゆっくりお話ししていきますが、一言でいうと「治る」「治せる」カラクリがあるのですよ。

善本 カラクリ? マジックみたいですね。今日は、先生のマジックのタネ明かしをしてもらえるということですね。楽しみです。