東芝に残された道は「自ら上場廃止」以外にナシ?

再生のために、思い切った決断が必要
田中 博文 プロフィール

上場廃止に「したくない」理由?

3.上場廃止の制約要因であった西室氏は既に日本郵政を退任

現在東芝は2015年9月15日より東証より「特設注意市場銘柄」に指定され、更に2016年12月19日は指定継続となっている。また、当該指定から1年6か月を経過した日(2017年3月15日)以後に内部管理体制等について再度、改善がなされなかったと認められた場合は、同社株式は上場廃止となる予定である。

特設注意市場銘柄とは、「有価証券報告書等の「虚偽記載」や不適正意見、上場契約違反等の上場廃止基準に抵触するおそれがあったものの、金融商品取引所の審査の結果、影響が重大とはいえないとして上場廃止に至らなかった銘柄のうち、内部管理体制等の改善が必要であり、継続的に投資家に注意喚起するべく、取引所が指定する銘柄」とされており、これはオリンパス事件の時に新たに出来た制度である。

筆者は以前、もともと上場廃止の基準が曖昧だと書いた。

それでも東芝が上場廃止にならないワケ ~ 東芝不適切会計問題で思うこと

この記事の中で当時、私は上場廃止とならない理由は、元東芝会長、東証社長であり、当時、日本郵政の社長だった西室泰三氏にあると書いた。

西室氏は東芝を退任したあと、2005年から2010年まで東証の会長を務めていた。東証トップを務めた西室氏の古巣である東芝を切っては、東証のメンツにも関わる問題である。

また、東芝を上場廃止にしたとなると、今度は当時、西室氏が代表をしていた日本郵政の上場にも影響が出る可能性が大きかった。ただでさえ、日本郵政の上場スキームは究極の親子上場としてコーポレート・ガバナンスとしての疑問も出る中、東芝の話が郵政にも矛先が向かうことも十分に考えられたわけである。

政府としては郵政の上場日程が狂うことは本意ではなかったはずだ。

 

しかし、一昨年、日本郵政は無事上場し、その西室氏も昨年6月に日本郵政の社長を退任している。今となっては、政府も東証も東芝の上場廃止を妨げる大きな理由はないと思われる。

ここで、過去の上場廃止の俎上に上がった案件を確認してみたい。以下の企業がここ10年程度で、世間を大きく騒がせた上場廃止判断が入った事例である。

オリンパスの時に東証が判断した項目を参考にして、以下の7項目を過去事例にも当てはめてみた。

1.決算修正すると上場基準に抵触するか
2.赤字を黒字にみせかけていたか
3.虚偽の有価証券報告書を使って金融市場より資金調達を行っていたか
4.本業の収益を偽っていたか
5.不正は組織ぐるみだったか
6.刑事罰となったか
7.課徴金となったか

大きく分けると「形式基準」と「それ以外」の2つに分けられ、「形式基準」には西武鉄道とカネボウが分類される。

よって、この2つのケースの上場廃止判断は、社会的影響はあれど、それほど難しいものではなかったと考えられる。